柏木真樹 音楽スタジオ

トップページ > アンサンブル講座 > lesson 2-1「ザッツ、アインザッツ」

前々から書こうと思っていたことですが、アマチュアのトップ奏者の中に「勘違い」をしている人が多いことが気になっていました。何かというと、「トップとはザッツを出して演奏をリードするものである」と思い込んでいる人が多いことです。

アマオケを聴きに行くと、それこそ自分のパートが出るたびに大きく振り付けをして指示するトップに出会うことがあります。これ、ほとんど意味がないんですね。

先日、知人があるオーケストラに参加したときのこと。コンサートマスターは、現職のプロオケのコンサートマスターを務めている方でした。この方、ほとんどといっていいほどザッツを出さないそうでした。しかし、後ろで弾いていた知人は「とっても弾きやすかった」と言っています。何ででしょうか?答は簡単。体の動きが音楽的なんですね。だから、周りの奏者も簡単に従うことができるのです。

それに対して、大きなザッツをこれでもか、これでもか、と出してしまうと、とても鬱陶しいことになってしまいます。第一、ザッツを見て合わせること、ほとんど不可能なんです。これは、実験してみるとすぐにわかることです。

アンサンブルでも事情は同じこと。よく、指揮者のように体を使っているファーストヴァイオリンがいますが、これはあまり喜ばしいこととは思えません。リーダーは、他の奏者が自然に合うように体が使えるように導く必要はありますが、自分の体の動きに「従わせる」必要はないからです。こんなことも、ちょっと考えて欲しいことだったりします。