柏木真樹 音楽スタジオ

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21
Sep.
2019
2019/9/21 Sat. 16:36


クレモナでは、楽器を見るだけでなくたくさんの「クレモナ学」を学んでいます。
特に面白いのは、クレモナ在住のアマチュア・歴史家であるMaurizio Mollicaさんのお話です。アマチュアといってもそんじょそこらの「愛好家」ではなく、クレモナ生まれのカメラマンが「あいつはおかしい。知識量も収集力も信じられない」というほどの実力者です。論文も多数出版していて、学校でも臨時講師としてたびたび呼ばれるような人。中世以来のジオラマを自分で作ってしまうような「本物の」オタクです。

そんなMaurizioさんに、クレモナの歴史の一端を知るためのお散歩に連れて行っていただきました。詳しいことは書籍に付ける小冊子に書きますが、とても面白い内容だったのでその一部をお見せします。

IMG_1588

 

 

散歩は、クレモナの古い城壁に沿って歩きました。クレモナは3世紀にローマ人が軍事拠点を作ったことから発展が始まった街ですが、当時はポー川の北側にこぢんまりした城壁と街を建てたのみでした。ポー川は約1000年かけて1キロほど移動しました(それもびっくりですが)。結果として、城壁大きくなり、街が拡大して行ったのです。

 

 

 

 

 

IMG_1584写真は古い城壁が残っているところを撮影したものです。ご覧のように、レンガをかなり厚く組み上げたもので、その総延長は約6キロ。いったいどれだけのレンガが使われたのか、想像もつきません。あまりにレンガの城壁が堅牢だったので、19世紀くらいまではこの城壁を壊して建物を建てることができず、城壁を建物の一部に取り込んで新しく建てることが普通に行われていました。

 

 

 

 

 

 

 

クレモナの城壁の東西南北の端には、古い教会があります。それらの教会は今でも現役のものもありますが、教会としてはすでに役割を終えたものもあります。

そして驚いたのは教会の多さです。サン・ロレンツォ教会というとても古い教会があり現在は考古学博物館になっているのですが、その角の十字路に立つと、四方のほぼ200メートル以内に4箇所の別の教会がありました。もちろん現在教会として機能しているのはひとつだけですが、こういうところがクレモナにはたくさんあります。東西南北に10分ずつ歩けば出てしまうような小さな街なのに、最盛期には200を超える教会があったというのですから驚きです。

これは一番見分けやすいタイプの旧教会。ほかにもいろいろあります

これは一番見分けやすいタイプの旧教会。ほかにもいろいろあります

 

 

 

 

必然的に、「元教会」という建物もの半端な数ではありません。その見分け方も教えていただきました。いくつか写真を載せておきますので、その特徴を見分けてください。

 

 

 

 

 

 

これ以外にもたくさんのお話を聞けて現物を見ることができた1日でした。

こうした歴史は、とてもガイドブックに載せられる量ではありませんので、ガイドブックに付ける小冊子にまとめる予定です。興味がある方は、ぜひ、ご覧ください(11月初旬に書籍が12月末に小冊子が発行される予定です。ただし小冊子は非売品で、クラウドファンディングで支援した方に差し上げる形を撮らせていただきます)

[ 2019/09/21(土) 16:36 ] クレモナレポート| コメント(0)
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