今回は、クレモナで一番お気に入りになったお店(Osteria Degli Archi)を紹介しましょう。以下はFacebookにあげた記事です。お店自体もお気に入りですが、私にとって生涯忘れられない食事会になりました。
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昨日(クレモナ2日目)は、18時に打ち合わせが終了。電話をいただいた永石さんと意見交換会という名前の飲み会。手始めに、ホテル・インペッロ(クレモナで一番高くて実質的じゃないホテル)の目の前の「ビールバー」で、サッカーに興じる人たちに敬意を表してイタリアン・ビールを。「最近はビールを飲む若者が増えている」「日本じゃ酒を飲む/飲める若者自体が激減している」というところから、経済論、文化論に。その後、永石さんオススメのレストランに移動・・・かと思いきや、目的のお店に通じる道(Duomoの真裏から放射状に伸びている道)がとんでもない騒ぎになっています。どうも(シャレじゃないよ)、その道は「9月20日通り」(9月20日はイタリアの統一運動/独立運動の記念日)で、どうやらお祭りの真っ最中。がんがんロックがかかっているホコ天に、飲食店のテーブルがずらり。目的のお店も「普段はちゃんとしたレストランなんだけど・・・今日はダメかも」という永石さんが危惧するお祭り騒ぎ。待てど暮らせど料理が来ない爆発寸前のお客さんがごっちゃり。そんな中で、となりの美魔女3人組にフレンドリーに話しかける永石さん(イ
タリア人だなぁ)。どういうことか、5月に工房にお邪魔したJostとRibesさん(参照https://maki-music.net/blog/2016cremonaviolin/)の奥様の方がひとりでふらふらしているところにも遭遇。結果、3人でお食事。ここが・・・またまた当たりです。メニューは「いつもはもっとちゃんとあるんだよ」だそうですが、ご覧の通りのお祭り簡略ヴァージョン。永石さんはニョッキ・アマトリチャーナ、私はキノコのリゾット(ただし大麦)。ワインは王道、モンテイプルチアーノ。そして前菜にカプレーゼ。さて、カプレーゼの写真はどこに???わっかるかなぁ・・・この店のシェフ、感覚はすごい。それなのに「バジルアレルギー」だそう。それでイタリアでシェフって・・・なので、バジルの代わりにオリーブ。それだけじゃつまらん、ということで、トマトは生と火入り、さらにトウモロコシのプレートで・・・というわけで、得体の知れない食べ物はカプレーゼです。これが、すごく美味しい。そして、またまたキノコ。乾燥ポルチーニをたっぷり使った出汁で、「ねっとり」とした仕上がりに。キノコの旨味で破顔。おかしい、クレモナは美味しくなかったはずなのに・・・
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ここに書いたクレモナ2晩目の夕食に入った(外だったから「入った」はおかしいかも)お店が大当たりでした。お祭りの日のメニューはごらんの通りのあっさりしたもの。ここから、アプレーゼとニョッキ、リゾットをチョイス。
Caprese Sbagliata(「カプレーゼ、間違えちゃいました」というネーミングセンスの良さにもびっくり)
Culatta (Affetato Tipico)(DOCのクラテッロではないと思います。材料・製法は同じだが指定された村のものではない)
Gnocchi all’Amatriciana(ニョッキ・アマトリチャーナ)
Orzoto ai Funghi Porcini(大麦のリゾット。orzotoは大麦を使ったパスタが原義です)
Butoon de Pajass (これは何語・・副題がSalamella Brasata e con Cipolle di Tropea e Pomodoroで理解。お肉をトマトで煮込んだものに玉ねぎなどが入っています)
Ribeye Steak(リブアイのステーキ。これはJostさんが食べました)
カプレーゼがびっくりする美味しさ。もちろん、普通のカプレーゼではなく「間違えちゃった」ものですが、料理としては素晴らしい。そしてリゾットにもびっくり。こんなに旨味が上手に使われているリゾットは・・・通りがかって永石さんとJostさんが挨拶。私を紹介してもらって「素晴らしい!!こうやって作ったんでしょ」と通訳してもらったら、ニヤッと笑って仲良くなってしまいました(笑)
結局、レストランの営業中に3度、お邪魔しました。クレモナ最後の夜ももちろんこちらに。ところが、高橋さんがマネージャーに「4人」と言うと、マネージャーは首を振って「満席だから無理」とのこと。そうでした、モンドムジカの初日なので、中は製作者を接待するディーラーさんなどでいっぱいなのです。あーあ、と思っていると、そこをシェフが通りがかり、「Maki!!」と叫んで(本当に叫んだくらい大きな声だった)力一杯ハグされてしまいました(笑)。「また来てくれたの?」「あ、今日で最後だから来たんだけどいっぱいだって」「え? そんなことない、ちょっと待って」と言って(英語はペラペラ。リヨンで修行していたそうなので、多分フランス語も)マネージャーに「ごにょごにょ」(ここはイタリア語でわからず)。そして、
バーカウンターに入って「待ってる間にワインでも飲んでてよ」と、4人にスパークリングと赤ワインを注いでくれました(これは料金取られてます/あたりまえ)。しばらくすると「席ができたよー」と呼ばれて、グラスを持って移動。なんと、奥の部屋にテーブルをひとつ余計に作ってくれたようです・・・店内には知り合いが何人か(それはまた別に書きます)
夜のメニューは写真に上げた通り。この店がトリップアドバイザーで評価が低いのは、ある意味で理解できます。メニューも黒板だけ、数が少ない。もちろん英語のメニューはないし、基本的に英語は通じない(シェフには通じますが)。でも、そんなことはどうでもいいんです、美味しければ!!ご覧のように、メニューは基本的にとっても少なく、黒板に書いてあるだけ。説明もないので、料理の説明をしてもらおうと思えば、シェフを捕まえるか、イタリア語で聞いてみるしかありません。
さて、頼んだものです。レシートから振り返ってみると・・
Caorese Sbacl 10
Orzotto 12
Primo 12
Calletto 14
Pajass 14
Caffe 2 4
Grappa 8(おかしいなぁ・・・高橋さんと2杯ずつ飲んだのに・・・)
Amaro 3
Acqua 2 4
Bianko 2 6(これはバーでのんだもの)
Rosso 2 6(これもバーで飲んだもの)
Roero calorio 28(おかしいなぁ・・・ワインは2本飲んだと思ってたのに・・・)
Dolce 3 15
Numero Pezzi(注文した数)19
私以外の3人は初めてだったので、オススメのカプレーゼとリゾットは当然のように注文。相変わらず美味しいです。primoは、メニューにある「GARGANELLI ALLA ZUCCA・・・」です。garganelliはエミリア・ロマーニャ地方のパスタで、ペンネのように見えますが別物で、よく見るとわかるように、ペーパー状のパスタ生地を細い棒で巻いて作るパスタです。巻くときに生地にスジ目をつけるので、内部の空洞と相まって味がよく絡むパスタです。カボチャ(zucca)、レーズン(uvetta)、乾燥トマト(pomocori secchi)と和えたもの。
Calletoは、piatto a sorpresa(驚きの一皿、とでも訳しますか・・・)のことでしょう。頼んだものから考えると。Calletoはお布団? 野菜のお布団にソテーした鶏肉が乗っていて、さらにキノコのソースがかかっています。しかし・・・これでオーダーしろっていうんですから、説明を聞かないと無理(苦笑)そりゃ、点数低いわけです・・・
デザートは、私は例によって食べませんでしたが、ビスタチオのムースとチョコレートケーキ。どちらもとても美味しいものだったそうです。私は、ドルチェの時間に店内で再会した知り合いと話し込んでましたが、バースペースでなにやら美味しそうな薄い赤のカクテルをシェフが作っていました。「美味しそうだなぁ」とつぶやくと「飲む?」ともうひとつ作ってくれて「これはおごり」と。すっきりしたカクテルで、とっても美味しかったのですが、名前を聞き忘れた・・・シェフにあとで聞いてみます。
高橋さんと私にとって、ワークショップとコンサートを終えた、最後の心から楽しい食事会でした。
ふたりともベロベロ状態(笑)でしたが、帰り途で食事の前にあった製作家さん御一行とばったり(深夜です)。結局30分くらい立ち話をして、最後の夜が終わりました。