柏木真樹 音楽スタジオ

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12
Feb.
2001
2001/2/12 Mon. 00:00

数日前、ヴェンゲーロフのテレビ番組がありました。ヴェンゲーロフといえば、幼少の頃から「天才ヴァイオリニスト」として名高く、小学生の年代でワックスマンのカルメンファンタジーを録音しちゃう、という強者。私もずっと注目していたんです。

番組では、バッハのシャコンヌとブラームスの3番のソナタをやっていました。番組を見て、はっきりいってショックを受けてしまいました。

バッハは、バロックボウイングでの演奏。恐らく、楽器にもガット弦が張ってあったのでしょう、見る見るうちに音程が狂ってくる。演奏の最後には、A線は、半音ほども下がっていました。解説をしているヴァイオリン弾きのおねえさん(名前を忘れてしまった(^ ^;;)は、「挑戦しているのでは?」のようなことを言っていたけれど、それにしても半端ではない変化です。

ブラームスは、さすがにモダンでしたが、音程が彼のものとは思えないほど悲惨。弾き方もはっきり変わっていました。どこか「求道者」のような感じ。

どうしてこんな風になったんだろう、と考えて、私なりに結論を出してみました。

彼は、きっと、「やることをやってしまった」ような精神状態に追いつめられて、そこからの変化をもとめているんだろう、と。天才過ぎて(?)、それ故の行き詰まりなのではないか。

私には、いわゆる「ファン気質」というものはないので、注目している演奏家などの私生活や音楽活動以外のことにはあまりくわしくないんだけど、例えば、彼は「恋」をしたことがあるのだろうか。演奏を聴いていて、人間としてのヴェンゲーロフが見えなくなってしまったんです。

あまりにできすぎると、ちょっと怖い気がします。少し楽にかまえて、人生を楽しんだら、10年後にすてきなヴァイオリニストになれるんじゃないかしら、と思いました。

[ 2001/02/12(月) 00:00 ] ヴァイオリン, 日記| コメント(0)
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