[3月7日]
今日は、グリーン交響楽団の弦分奏。今回の曲は、シューマンの「ライン」とチャイコフスキーの「イタリア奇想曲」。曲のことはおいておいて、今日は若者の体についての考察です。ウェッブや掲示板で、私は「若者の体が危機だ」と何度か書いてきましたが、またもやそれを感じることとなりました。
きっかけになったのは、第二楽章のリズム。三拍子なのですが、どうしても三拍子らしくありません。特に、2拍目3拍目を弾いているパートがリズムになっているように聞こえないのです。「リズムは割り算。足さないこと」という説明だけではどうもうまくない。そこで、みなさんにさまざまな歩き方をして、リズム感覚を知ってもらうことになりました。
歩き方は、その人のリズム感覚に直結すると思っています。きちんと歩けない人はリズムが悪いことが多いのです。根本的な理由は、「拍動の意味の取り違え」です。「拍」は、物理的には時間単位を示します。そのために、「拍動」を単に時刻の通過を示すものだと考えやすいのです。
音楽が演奏されるとき、演奏のベースにある「拍動」は「音楽が進む勢い」を示すものでなくてはなりません。表すものが「時刻」ではだめで、「その時点での加速度」を示す必要があるのです。
理屈では理解しにくいかと思いますが、「手拍子をしてみて」というと多くの人が納得します。拍動が単なる物理的な拍になっている人は、手を叩く時に叩いた手が止まります。しかし拍動に進む勢いを感じている人であれば、叩かれた手は弾かれたように運動します。この「勢い」が拍動なのです。
こうしたことを説明して、皆さんにリズムを感じながら歩いてもらいました。結果は・・・
リズムを感じることができない歩き方をしている人が多かったのですが、それよりも気になったのは、多くの人が「骨盤を使って歩いていない」ことなのです。
これは、日常的に街を歩いている人たちを観察してみるとよくわかります。歩く時に骨盤が使えているか/使えていないかは一目瞭然なのです。グリーン交響楽団の人たちの中にも、骨盤が使えていない人がたくさんいました。特に、若者がダメなのです。
そこで、20代の男性2人に実験台になってもらいました。やり方は簡単。仰向けに寝転がって脚を閉じてもらい、閉じた脚を「手で」こじ開けようとするのです。被験者はもちろん抵抗しますが、2人の若者の脚は簡単にこじ開けられてしまいました。これは大問題なのです。
脚と手のどちらが強いか、ご存知でしょうか。もちろん、脚の方が強いのです。その昔、梶原一騎が漫画の中で「逆立ちして脚で攻撃する最強の格闘技・カポエラ」という紹介をした(これは事実誤認ですが)ことも、仮面ライダーたちが「蹴り技」を多用したのも、脚が強いからなんですね(笑)。
私の脚は、男性2人がかかりでも開きません。これは、内転筋や大腰筋がしっかり使えているからなのですが、これらの筋肉(および腹筋下部)は、骨盤を安定させるために大きな役割を果たしています。こうした筋肉がしっかりしていないと、骨盤を使って歩くこともできませんし、姿勢も悪くなります。
こうしたことを説明し、体を調整することをお願いしました。リズムの話からかなり脱線してしまいましたが、「リズミックに歩けない人はリズム感覚が悪い」というのは、かなりの確率で真です。サラサーテ誌の14号にも書きましたので、機会があれば目を通して下さい。