柏木真樹 音楽スタジオ

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06
Jan.
2016

最近、肩関節の可動域が非常に狭い人が多くて驚いています。レッスンを始めるときに、怪しいと思ったらチェックしているのですが、それにしても狭すぎる人が多いのです。

最近来た30代の生徒の肩はこのくらいしか上がりませんでした。

最近来た30代の生徒の肩はこのくらいしか上がりませんでした。

肩関節の可動域を調べるときには、写真のように肩口を押さえて上腕を持ち上げてみます。肩関節だけの可動域は、理論値としては120度。これに、肩甲骨の上方回旋運動の60度を加えて、腕は180度上がるわけですが、腕を上げるときに肩甲骨ごと持ち上げる(挙上運動)動きを加えると、肩関節が十分に動かなくても腕は180度近くまで持ち上げることができます。そのために、実生活では問題を感じずに、なかなか気がつかないのだと思います。私は難なく120度上がりますが、やってみると120度上がる人は極めて少ない。特に、最近は若い人がとても硬くなっていることが多いのです。30代で90度も上がらない人も珍しくなくなりました。真横だけでなく、少し前後に持ち上げてみると、上がらない方向がある人もたくさんいます。

肩関節が十分に動かないと、いわゆる「50肩」にもなりやすいのではないかと思います。これまで50肩を訴えた人の多くは、肩関節が狭くなっていました。整形外科では、50肩は「肩関節周囲炎」という、要するに「原因不明」とされてしまい、多くの場合は「そのうち治ります」と言われるようですが、実際には、放っておいたり単に温めたりという中途半端な治療では、痛みが引いて腕があがるようになるまでに数カ月(場合によっては年単位)かかってしまいます。整体など、ある種の施術では、いわゆる50肩の8割以上(多くは三角筋などの筋肉組織の問題です)はすぐに肩を動かすことができるようになるのですが、それにしても肩関節自体の可動域が狭くなる状態を改善するのは容易ではありません。関節内の組織が硬くなっている場合は、トレーニングなどで少しずつ可動域を広げていくしか方法がないからです。

私の腕は、ほぼ理論値通り120度持ち上がります

私の腕は、ほぼ理論値通り120度持ち上がります

 

 

可動域が狭くなっている場合、同時に三角筋などが硬くなっていることが多いのですが、これを少しでも改善して、関節を負担なく動かすことができるようにしなくてはなりません。ヴァイオリンを弾くときにも、肩関節の可動域が狭くなっている状態は、困った結果を生むことがあります。腕を上げるときに「肩ごと」上げてしまう人は、肩関節をチェックした方が良いでしょう。チェックするときには、誰かに手伝ってもらって、写真のように動かしてもらってください。

肩関節の自由度が減っていることが確認できたら、できるだけ早くなんらかの対策をとっていただきたいと思います。

[ 2016/01/06(水) 10:44 ] ヴァイオリン, 体や頭のこと| コメント(0)
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