阪急阪神ホテルの食品偽装がきっかけで、いくつものホテルでの「偽装」が明るみに出ています。この国の常ですが、何かがあると、同じような問題が次々に明らかになる。「みんなでわたれば怖くない」なのか、「今言っておかないと後でやばい」なのかはわかりませんが、同時期に明るみになる構造には、少しうんざりしています。
しかし、今日はそんな、社会面的な問題を取り上げる気はさらさなく・・・・
「芝えび」です。
「中華料理では、小さなエビを芝えびと呼ぶのが普通だ」という阪急阪神ホテルの調理人の言うことは寡聞にして知りませんが、芝えびは大好きな食材です。小さな頃は、それこそ「お手軽な食材」で、母親があれこれと料理してくれました。唐揚げ、グラタン、がんもどきが多かったのですが、どれもとても美味しく、今でも私のレパートリーです。
実家を出て毎日料理をするようになると、芝えび(とワタリガニ。これも、今では高級食材になってしまいました)の料理はしょっちゅう作りました。がんもどきが一番好きなのですが、カレーにしたりパスタの具材にしたりスープにしたり、炒め物にもよく使いました。殻を剥いてワタを出すのがちょっと面倒なのですが、頭からはよいスープがとれるので、苦労しがいのある食材でもあります。
ところが、10数年前から、ぱたっと見なくなりました。漁獲高を調べたことはありませんが、かなり減少しているのは確かだと思います。当然、メニューからも長い間消えていました。それが、ここ2、3年は、佐賀産をちらほらと見かけるようになり、最近は時々使っています。昔に比べるととても高くなってしまいましたが。
不思議だったのは、中華料理屋でメニューを見ると、必ず「芝えびの炒め物」が載っていることが多いことです。大好きな和食の料理人も、「芝えびは本当に少ないです」と嘆いているのに、数多ある中華料理屋には何故か芝えび様がいらっしゃる。私は、恐らく「海外産の似たようなもの」だろうとは思っていました。ししゃもとキャペリン、のようにですね。
数日前、父親の3回忌(というほど大げさなことではありませんが)で弟一家と実家に集まりましたが、母親が選んだ料理のひとつに「がんもどき」がありました。今では私が任されて作るのですが、それでも用意された具材が自分流とは違って、懐かしい味に仕上がりました。なんとなく、芝えびのことが書きたくなった次第です。