名古屋でレッスンの後、杉藤楽弓社にお邪魔しました。サラサーテに掲載された私の記事を読まれた杉藤さんからご招待をいただいて、「新しいコンセプトの弓」などを試奏させていただきにお伺いすることになったのです。
実は、杉藤さんの弓にはあまりよいイメージがありませんでした。数年に一度くらいの間隔で、他の人が使っている杉藤さんの弓には出会ってきたのですが、あまりピンとくるイメージがなかったのです。その最大の理由は、重量耐性の不足と芯の弱さでした。前者は音を出すことそのものに問題を生じ、後者はさまざまな奏法、特に反発を利用するものの演奏を困難にします。これは、安価な弓に起こりがちのことで、そのために一から始める人たちにも、出来うる限り弓は良いものを使うように勧めていました。
今回は、安価なものから新しく作ったものまで(20000円台〜60万円台)、各価格帯を満遍なく弾かせていただきました。サラサーテにも書きましたが、以前のイメージに比べて全体的にしっかりしたものになっている感じです。少し、見方を変えなくてはならないと思いました。特に、奏法的な無理はかなり解決されているように思います。また、新しいコンセプトの弓(10万円台後半から60万円台まで)は、かなり弾き応えが違います。特に10万円台後半のものは比較的選択肢が少ない価格帯なので、練れてくれば面白い存在になるかもしれません。
面白かったのは、「年に一本しか作らない」という、フロッグを木で作った軽い弓。速い運弓に適していて、古いものを演奏するには楽な弓でした。バランスにやや難しさがあり、弓中から先にやや難しさを生じますが、モダンのスタイルの弓とはちょっと違った弾き方ができます。また弾かせていただきたいものだと思いました。
杉藤さんとは、カーボン弓や新しいほかの弓たちのことも話題になりました。近年、さまざまな新しいものが出ていて、杉藤さんのような昔からのメーカーにとっては脅威でしょう。しかし、新しいものに刺激されれば、もっともっと進化することができるでしょう。ユーザーとしては、それが最も期待したいことです。私たちユーザーとしても、今回のように、製作者とお話できる機会は大変貴重だと思います。これからも、このようなチャンスがあるとうれしいですね。