柏木真樹 音楽スタジオ

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11
May.
2009
2009/5/11 Mon. 00:00

今年も発表会が無事終りました。この形の発表会もすっかり定着したようです。不思議なことに、コンチェルトやチェンバロの希望者の数が概ねこちらがわの意図通りに収まるようになりました。生徒が推し量ってくれているでしょうか(笑)。

今年は「有名な曲を室内楽に編曲して使うという」新しい試みも少し行なってみましたが、生徒さんにも聞いている人にも好評でした。これからもマンネリ化することがないように、私自身もあれこれと考えながら発表会を作って行こうと思っています。

 

***** プログラム *****

1)モーツァルト/12の二重奏より 第4番ポロネーズ 第5番ラルゲット 第8番アレグロ 
   ブラームス/ワルツ              Vn ×××  Vn/Pf H

×××ちゃん、本発表会初登場です。チェロをたしなむ×××ちゃんママとの共演がきっかけで私のレッスンを受けることになり早一年半過ぎ。”ゆるゆる””あまあま”のレッスンで「バイオリン大好き」(×××ちゃん談)に育ってくれています(涙)。プログラムは本人の希望、ママの希望、私の提案で構成しちょっとだけ大人の表現に挑戦します。「弾けないのが嫌で泣きながら練習」(ママ談)する負けず嫌いなところがありますので、今日はきっと魅力的な音楽をお聴かせできると先生バカは自負しています。 〈H〉

 

2)マザ/二重奏曲集op.38より 第5番   Vn1×××  Vn2 Y

「アズールに入団したい」と私にメールを下さったのが去年の10月、まだヴァイオリンを始めて1年ほどの時でした。その時アズールは団員を募集していなかったのですが「どうしても」という熱意にほだされ、しばらくレッスンをしてから参加できるようにしましょう、ということになりました。レッスンを始めてみると、熱意と持ち前の負けん気の強さ(失礼!)で課題を次々にクリア。アシスタントにお願いする間もないほどの上達のスピードで、半年で発表会に出るまでになりました。私としては異例の順序ですが、基本奏法を学ぶ前に曲もスタート。5月からは念願のアズールにも参加予定。さらに世界が広くなるはずです。

 

3)モーツァルト/12の二重奏より 第10番アンダンテ 第2番メヌエット 第4番ポロネーズ
                      Vn ×××  Va H

がっちりした体つきから想像できるままの、真面目でまっすぐな×××さん。他の教室で5年ほど続けてきたのですが、伸び悩んで転校してこられたのが昨年のことです。トレーニングのために、毎週のように高尾山を走って(!)登り降りしていたというだけあって、常に全身のアウターマッスルが大活躍。体の痛みに耐え根性で練習を続け首も肩もかなりひどく傷めてしまっていたため、最初はリハビリと体の使い方を覚えることが課題でした。性格と同じように硬い体(失礼!)で、始めは腕を回すこともできなかったのですが、現在はようやくレッスンらしくなってきました。これまで音楽的なキャリアは何もありませんが、発表会に向けて大ハッスル。楽しんで演奏してほしいと思います。

 

4)マザ/小さな二重奏曲集 op.85より 第9番   Vn1××× Vn2 H

2年半前にいらっしゃった×××さんも発表会初登場組です。仕事でかなり体に負担をかけていて肩こりや頭痛に悩まされていたり、左手の練習を始めようとした時に左手を怪我したりと苦労をしましたが、1年半ほどで開放弦のトレーニングを通過しました。ほぼゼロからのスタートの生徒さんとしては普通のペースですが、カルテを読み返してみると音程の注意がほとんどありません。レッスンでの注意を自分で考える力も充分持っていますので、これからレッスンの進度も速くなるでしょう。目標である「自分を表現すること」に向かって、どんどん経験を積んでほしいと思います。

 

5)プレイエル/小二重奏集op.8より第6番   Vn1××× Vn2 Y

発表会2回目の×××さんは、私のところに通うようになってもうすぐ3年になります。初めは体の状態を整えることに苦労していましたが、1年を過ぎた頃から体調管理も少しずつできるようになり、レッスンの進度も上がってきました。体の使い方やヨガなどにも興味を持っていて、日に日にヴァイオリンでの体の使い方も進歩しています。丁寧に練習を積み重ねているものの、まだレッスン時に「あ、そうか」と気がつくことが多ので、考える力がもっとつけば質の違う練習が出来るようになるでしょう。いろいろなことに好奇心がとても強いので、これから音楽的なお話をレッスンで増やしていくことも楽しみです。

 

6)プレイエル/二重奏曲集op.48より第2番
   マザ/二重奏曲集op.38より第4番             Vn1×××  Vn2×××

「読譜力や体の使い方をきちんと学びたい」と、昨年から私のレッスンを受け始めた×××さん。ヴァイオリンを始めたのは実質的に二十歳を過ぎてからですが、将来は「レイトスターターのお手伝いをしたい」と意欲的です。私にとっても冒険ではありますが、10年近く続けていた練習法を完全にやり直してのリスタート。学ばなくてはならないことはヴァイオリンを弾くことだけでなく、音楽全般、そして人との付き合い方などにも及ぶと思いますが、大人になってから始めた「最初のきちんとした」指導者になってほしいと願っています。共演する×××さんも、中学校からヴァイオリンを始めた指導者候補。二人で切磋琢磨して、私を超える教え手になってほしいと思います。

 

7)ヘンデル/二重奏曲集より メヌエット、シャコンヌ  Vn1×××  Vn2 H

好奇心旺盛な×××さんは、お医者さんらしく何事も論理的な理解を求めます。その質問にHも私もたじたじになってしまうこともあるのですが、体を使う作業や音楽的な演奏は理屈ではできないところがたくさんあります。感覚の理解と論理が一致すると、楽譜を読んだり実際にヴァイオリンを弾くことも質的に変化してくるでしょう。×××さんはヴァイオリン以外にも合気道をやっているのですが、3月の試合時、脚に大痣を作ってしまいました(暴露失礼!)。Hに報告を受けた時にはびっくりしたのですが、発表会に影響が無くホッとしています。曲はヘンデルのさまざまな楽曲をアレンジした曲集から選びました。

 

8)コレッリ/ラ・フォリア    Vn ×××  Cem

熱意は人並み以上。レッスンも毎週欠かさず通う×××さんですが、練習には少しばかり難がありました。絵を描くことが専門なのですが「デッサンを精密にする」という意識で練習をしていました。小さいものをきちんと積み上げていくのではなく、繰り返し弾いていくことで徐々に正確に仕上げるという習慣をもっていたのです。アプローチとしては理解できますが、楽器の練習法としては正しくありません。そのことを理解してから、きちんとした練習ができるようになってきました。曲は誰もが知っている有名なものです。さまざまな体の使い方を要求される曲なので、「練習法を定着させるために」と私が選びました。×××さんにとって今回の発表会が大きな転機になることを期待しています。

 

9)テレマン/デュオソナタ TWV40より 第1番   Vn1×××  Vn2 Y

人並み以上の好奇心と向上心をお持ちの×××さん。今回の曲も、「バロックのデュエットが弾きたい」とご自分でイメージを持っての選曲です。新しいものにチャレンジすることが大好きで、ヴァイオリンを習得する道は「新しいチャレンジがずっと続く」もの。レッスンを続けていても常に新鮮な挑戦の連続であることを感じていると思います。簡単に征服できないからこそ面白い音楽の扉を、これからも持ち前の「curiosity」で開ける努力を続けてほしいと思います。曲はドイツバロックの大家であるテレマンがバロックフルートのために書いた曲集から選んだものですが、アンサンブルの妙味が味わえる佳曲です。

 

10)C.P.E.バッハ/ヴァイオリンソナタ DH.502  Vn ×××  Cem

生徒の幹事としてわがままな私を支えてくれている×××さんには、感謝してもしきれません。「ゴルフかヴァイオリンか」という「究極の選択」で、私の生徒になるという「不幸(失礼!)」を選択されてしまい、「ヴァイオリンが仕事のようになってしまった」とこぼすことも。進度が上がるにつれてやるべきことが増えると、できないことばかりが気になってしまう真面目さも相変わらずです。私の生徒にはとても意欲的な方が多いのですが、×××さんも今回私が弾いたことがない曲を発掘し、自分で楽譜を探し出してきました。C.P.E.バッハは大バッハの息子ですが、理論家として有名で、ベートーヴェンが彼の本で理論を学んだことも知られています。

 

11)テレマン/カノン風ソナタより 第2番    Vn1×××  Vn2 H

×××さんは、私がトレーナーをさせていただいている東京グリーン交響楽団のメンバーです。楽器を演奏することが大好きで、ヴァイオリン以外にもピアノやバンドなどで活動しています。発表会は初登場ですが、演奏会の経験はいろいろとお持ちです。体の使い方があまり上手でなく、体に痛みや疲労を感じることがしばしばでした。ヴァイオリンのレッスンと同時に体の調整も続けてきて、ようやく安定して練習やレッスンができるようになり、最近は練習のペースも上がってきました。この調子で、ヴァイオリンの経験もたくさん積んでいってほしいと思います。曲は、テレマンが書いたデュオソナタですが、全編カノンになっており、セカンドヴァイオリンはファーストヴァイオリンに少し遅れてスタートして全く同じ楽譜を演奏します。ある意味で「お遊び」なのですが、とても美しく楽しい曲で、私がとても好きな曲集です。

 

12)J.S.バッハ/ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ BWV1021 Vn ×××  Cem

その飄々とした風貌と強い意志が同居した×××さん。今回も07年と同じバッハのチェンバロ付きソナタを自分で選びました。練習や曲に向かう姿勢も真摯で、私の少々無理な注文にも出来る限りの努力を惜しみません。オクターブも届きにくい小さな手なのでどんな曲を弾いても手の運動に困難がつきまといますが、自分なりの運動を練習で作り上げ、難しいエチュードや曲をこなしてきました。欲を言えば「意思」ではなく「感覚」的な楽曲の理解を深めてほしいと考えています。音楽は人間の感性が作り上げてきたもの。仕組みを学ぶことは感性を理解するための方法論です。それが理解できたとき、演奏の質が変わってくると思います。

 

13)J.S.バッハ/ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ BWV1016 Vn ×××  Cem

チェンバロ付きのソナタの中でも名曲中の名曲。「弾けますか…?」という問いかけに対する「大丈夫!」という私の答えに、「難しいです!」と何度もクレームが(失礼!)。それでも、レッスンを重ねるうちに、バッハの書いた楽譜の意味を理解して演奏できるようになってきました。アズールで「トレーナー対応係」というへんてこな役職をやってくださっているように、私の仕事やさまざまな背景の良き理解者でもあります。とことん真面目な方なのですが、人生を楽しむ達人でもあり、思いがけない趣味をお持ちだったりもします。できるようになるまでに時間がかかることが多く「匍匐前進」と私にからかわれていますが、前進し続けている限り、音楽の世界がもっと楽しく広がって行くでしょう。

 

14)ベートーヴェン/ロマンス へ長調   Vn ×××  Pf

レッスンはまもなく3年になりますが、×××さんにとってこの期間は大変革の時期だったのではないでしょうか。来られた当初に感じされられたひ弱さが、少しずつ大人の安定感に変わってきているように思います。安定した仕事を捨ててでも音楽の世界で生きたいと夢を見て仕事の傍ら学校にも通う根性もあり、それも大きな強みです。私からみると「もう少し器用に暮らせれば楽なのに」と思うこともありますが、妥協することなく自分の意志をつらぬいてほしいという思いもあり、少しばかり複雑な心境です。曲はベートーヴェンらしさが随所に発揮されている解説不要の名曲です。

 

15)モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」より
 「恋とはどんなものかしら」「無くしてしまった、どうしよう」「奥様、どうぞお先へ」
                         Vn1×××  Vn2 柏木 真樹

×××さんは公開講座がきっかけでレッスンについた最初の生徒の1人です。いつも発表会や合宿に参加することにとても前向きなのですが、今回は事情があり参加を決めたのが3月のこと。それから曲を決め、実質的には1ヶ月ほどの準備で参加します。趣味や興味がとても広く、ヴァイオリンを弾くことも練習も大好きなのですが、ここ2年ほどは仕事がとても忙しくなり練習時間が激減してしまったのが残念。今回は、そのような事情で他の先生と合わせる余裕が無く、私が相方を務めます。曲はモーツァルトのオペラからアリアを二重奏用に編曲したもので、レッスンでもたまに使うものです。みなさんもよくご存知のものばかりだと思います。

 

16)モーツァルト/クラヴィチェンバロとヴァイオリンのためのソナタ KV.304 Vn ×××  Pf

バロックが大好きな×××さんが、今年はほんの少し新しいものに挑戦します。昨年始めに仕事のポジションが変わってからは、なかなか定期的にレッスンに通えなくなりました。そのために少しばかり状態が悪くなってしまいましたが、なんとか復旧中。しかしレッスンの間隔があいてしまったことでひとつだけ良いことがありました。過去の記録を読んで考えて練習することの大切さを感じたことです。朗らかで元気な×××さんですが、思うような音を出して音楽を作るために、練習ではしっかり自分を見つめられるような頭の使い方を一日も早く覚えてほしいと思います。曲は数あるモーツァルトのソナタの中でも特に人気の高いものです。

 

17)モーツァルト/ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 KV.423 Vn ×××  Va 柏木 真樹

名古屋のレッスンも4年半になります。ここまで楽しく続けてこられたのは、名古屋の皆さんの熱意だと感謝しています。×××さんは名古屋組に無くてはならない宴会部長。食べ物にうるさい私のために、毎回苦労して反省会会場になりうる店を予約してくれています。今回の演目は当初ミハエル・ハイドンのデュエットの予定だったのですが、連作の後半であるこの曲を聴いて「こっちがいい」ということで変更しました。結果的に難曲を選択してしまったのですが、良いものを知ってしまうと後戻りができないのが音楽と食べ物の特徴です。苦労を承知で挑戦することにしました。名古屋で他の先生と合わせるのは大変なので、この演目も私が相方を務めます。

 

18)クライスラー/プニヤーニのスタイルによる序奏とアレグロ   Vn ×××  Pf

ピアノ合わせを聞いて「×××くん、上手になったね」と思わず私に声をかけた人がいました。中3になった×××君、かなり成長したと思います。音楽を愛する理解あるご両親に育てられた×××君ですが、それゆえに自分で音楽を創り出す力が身に付いていませんでした。これは今まで普段の練習時に自分で考え判断する習慣がなかったためです。思えば、私もヴァイオリンを本当に面白いと感じたのは×××君と同じ頃。これからはそういった練習がきちんと身に付くようになるでしょう。曲はクライスラーが過去の曲を装って発表したもののひとつです。学習者がよく弾くものですが、演奏会用の曲として十分に価値のある佳曲です。

 

19)マスカーニ 編曲:大山元/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」序曲と変奏、間奏曲と変奏
                  soloVn ×××   Vn Y    Va  Vc  Pf

「新しいものが弾きたい」という×××さん。名古屋組の最年長で、気さくな性格で皆さんに慕われています。昨年は前日になって体を壊すという不運で出演できませんでした。今回は新しいものにひっかけて、「名曲とされるものを発表会で使える教材にアレンジする」という新しい実験をしてみました。編曲をお願いしたのは「やさしい弦楽四重奏」を出版された大山さんです。序曲と有名な間奏曲に変奏をつけていただきました。練習にもレッスンにも、×××さんは今まで以上に熱が入り、狙いは当たったのではないかと思います。弦だけともピアノとヴァイオリンとも違う、ちょっと面白いカヴァレリアをお楽しみください。

 

20)ベリオ/バレエの情景      Vn ×××  Pf

大学を卒業していよいよ本格的にヴァイオリン修行に入った×××さん。3月には大山さんの主宰する「弾き倒し合宿」にも参加して、音楽漬けの生活が始まりました。アズールと東京グリーン交響楽団にも「放り込まれて」さまざまな経験を積み始めたところです。さすがに「疲れました」という愚痴をこぼすこともありますが、妥協させないで鍛えています。小さな体のどこにこんな根性があるのだろう、と思わせる練習ぶりで、2年間で驚くほど進歩しました。しかし、音楽を本当に理解するためにはやらなくてはならないことは山積み。これからもあまり「褒めないで」レッスンをしていこうと思っています。曲は、ヴァイオリニストで指導者でもあったベリオの佳曲で、学生音楽コンクールなどでも課題になることがある曲です。

 

21)ヴィヴァルディ/合奏協奏曲集 op.12より第1番 ト短調
                    Solo Vn ×××  アンサンブルCONSONO

叱られ慣れていないのでしょうか、私が時として厳しい言葉をかけると言葉に詰まってしまうこともある×××さん。ヴァイオリンを弾いてきた期間は長いのですが、システマティックなレッスンを継続して受けたことが無く、「ヴァイオリンが弾きたい」という気持ちだけで練習をしてきました。私のところで初めて基本や奏法の考え方に触れたのですが、最初のうちはあまり理解できていなかったようです。そんな×××さんにも少しずつ変化が見えてきました。考えて練習すること、自分で自分を厳しく判断することの大切さが理解できてきたようです。これからが本当の修行だと思って頑張ってほしいと願っています。曲はヴィヴァルディがさまざまな独奏楽器のために作曲した曲を集めた作品12の中の一曲です。

 

22)アッコーライ/ヴァイオリン協奏曲 第1番 イ短調
                  Solo Vn ×××  アンサンブルCONSONO

×××さんを見ていると「本当のamateurだなぁ」と思うことがよくあります。音楽に触れているときの幸せそうな表情は、私の生徒の中でも特に目立ちます。そんな×××さんに発表会の課題を考えていたとき、この曲のバックが実は弦楽オーケストラであることを偶然知りました。ピアノパート譜を見る限り管楽器の入ったオーケストラのものに見えるので、まさか弦オケでできるとは思いもよらず驚きました。昨年は二重奏でのコンチェルトだったので「今年は1人でソロを弾いてみる?」と聞いたときの「いいんですか」という×××さんの嬉しそうな表情は忘れられません。曲は学習者の多くが通過するものです。

 

23)J.S.バッハ/ヴァイオリン協奏曲 第2番 ホ長調
                    Solo Vn ×××  アンサンブルCONSONO

体を痛めてなかなか思うように練習ができず、最後の階段をなかなか登れません。今回は手に比較的負担が大きいバッハを選び「自分で曲を作ること」を課題にしました。今までは「こうしなさい」と言われて曲を作ってきたのですが、そろそろヴァイオリニストとして立ち上がる訓練をしなければなりません。ひとり暮らしでは時間や精神状態のコントロールが難しい面もありますが、それを乗り越えてこそ道が拓けると思っています。存在感があるソロを弾くことができるかどうか、楽しみにしています。

 

=== ごあいさつ  ===

本日はご来場下さいまして、まことにありがとうございます。

音楽は、人間の心を癒す力を持っています。名演奏家の演奏を聴くことだけでなく、演奏することにもその力があると思います。その癒しの力は、人間の想像力を刺激し、創造する意思や意欲を生み出す源に作用するものでもあります。さらにその力は、音楽をするときだけでなく、人間のさまざまな活動にも影響を与えます。

私は音楽評論家がよく使う「解釈」という言葉が好きではありません。楽曲を「分析」することは必要ですが、その結果得られるものは、それぞれの人の感性にしたがって「自動的に」出来上がってくるものだと思うからです。その感性を養うためには、音楽のさまざまな要素を知り経験を積むことが必要です。そして、そうして作り上げられた感性は、人間の活動すべてに対する想像力や判断力につながっていくものだと思います。みなさんが音楽を通して感性を磨いてほしい、そんなことを発表会の前に考えてしまいました。

今回は、エントリーしたものの参加できなくなった生徒が6名もでてしまいました。一方で、初参加の人が多いことは喜ばしい限りです。私たちができることは、皆さんが音楽をするために必要な経験を積んでいただくお手伝いをすることや、その場所を提供することです。これまでもできるだけ多彩な経験をしていただけるように努力してきましたが、今回はひとつ新しいことを試みてみました。幸いにして、アマチュアでありながら長年作曲活動をなさってきた大山さんが全面的に協力して下さり、ピアノクインテットの形にアレンジしたカヴァレリア・ルスティカーナをプログラムに載せることができました。これからもさまざまな形の可能性を追求していきたいと思います。

最後になりましたが、毎年たくさんのアンサンブルをお願いしているYさん、Sさんに御礼申し上げます。そして、私たちを支えてくださっているすべての皆さんに、この場をお借りして感謝致します。

2009年5月5日  柏木 真樹

[ 2009/05/11(月) 00:00 ] コンサート, レッスン| コメント(0)
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