昨日、実家でサロンコンサートを行いました。ご来場くださったみなさまに、深く御礼を申し上げます。
共演していただいたのは、古典鍵盤楽器奏者として活躍している筒井一貴さん。曲目は以下の通りでした。
・ヴィヴァルディ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ集作品2より第2番
・モーツァルト:クファヴィチェンバロとヴァイオリンのためのソナタ K.304 ホ短調
・ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第4番 ハ短調
・シューベルト:ソナタ「アルページョーネ」(ヴィオラ)
・アンコール:ベートーヴェン ヴァイオリンソナタ第5番「春」より第1楽章
そもそも、このコンサートをやろうと思ったのには、いくつかの理由がありました。
・実家にある19世紀終盤だと思われるベッヒシュタインのピアノと横田誠三さん作のフランドルの2段鍵盤のチェンバロの両方を使ってコンサートをやりたいと思っていたこと
・還暦(来年です!)までに「演奏者」としての自分を見つめ直してコンサートをやろうと考えていたこと
・クレモナで素晴らしい楽器(Valerio FerronのヴァイオリンとMassiomo Ardoliのヴィオラ)に出会って、それを使ったコンサートをやりたかったこと
などです。指導者としてはある程度のことができるようになったと自負していますが、演奏者としては経験があまりに少なく、長い間、自分が考える演奏を実際に実現したいと思っていました。これをきっかけに、コンサート活動も続けたいと思っています。
今回のプログラムでは、チェンバロとピアノと一緒に弾きながら、タイプの全く異なる4つの曲を取り上げることがコンセプトのひとつでした。ヴィヴァルディとモーツァルト、ベートーヴェンではそれぞれ弾き方をまったく変え(弓の持ち方も!)、それぞれに時代の違いを感じていただくことを大きなテーマにしたのです。もちろん、チェンバロやピアノがその能力を十分に発揮出来る曲にすることも大切でした。結果的に選んだ曲は、いずれもかなりハード(精密さが要求されたり技術的も難易度が高い)なもので、共演者の筒井さん曰く「コスパの悪い選曲だ(汗)」そうです。
ヴィヴァルディでは、即興と変奏を重視。モーツァルトは不要なロマンティシズムを完全に排除しました。ベートーヴェンはあまり演奏されない4番のソナタの「ベートーヴェンらしさ」を感じていただけるテンポ設定(もう少し妥協すればよかったと反省/汗)にし、シューベルトは楽譜に書かれたイメージをできるだけ損なわないように、と注意して準備をしました。結果として、それなりに意図が通じる演奏にはなったのではないかと思います。
ただし、コンサートをやる上での問題点はたくさん浮上しました。リサイタルの曲数を仕上げることの難しさ、ペース配分の経験のなさなどが浮き彫りになり、今後のための糧にしようと思っています。
寒い中、駆けつけてくださったみなさまには心より感謝いたします。そして、素晴らしい楽器を製作してくださったArdoriとValerioに、日本の地から「ブラボー」を捧げたいと思います。