柏木真樹 音楽スタジオ

トップページ > Blog > 未分類 > チューニング(ペグを回すこと)は握力じゃありません

 レッスンやアンサンブルで「ペグが回りません」「ペグが止まりません」というSOSはとても多いものです。ペグが回しにくかったり安定しなかったりする原因は、ペグとネックの材質に違いがあり水分に対する膨張率が違うために起こることが多いので、冬の乾燥期には止まりにくく、湿度が高い時には回りにくくなります。もちろん、ペグをきちんと調整することも大切です。しかし・・・動くし止まるんですよね、私がやってみると。

 昨日の生徒も「しょっちゅう落ちるし止まらないんです」と涙目。合わせてあげて「僕がチューニングをした後は落ちないでしょ?」と尋ねると「はい、大丈夫です」「ということは、止め方だよな」「・・・」

 さて、ペグが固くて回らない時に「握力がないから・・・」と悲しそうに言い訳をしてくれる生徒が多いのですが、「僕は学生の頃でも左手は32しかなかったよ」というと「???」今はどれくらいかなぁ・・・少なくとも、成人男性の平均よりはかなり低いのです。(右でも36しかありませんでした)もちろん、小柄な女性はもっと少ないでしょうが、ペグが回せるかどうかは実は握力の問題ではないのです。では何が違うのでしょうか。動画で説明しましょう。

 少し見にくいのですが、掲載した動画は、生徒と私が手を握り合っている(意味が違う/笑)ものです。親指と人差し指で相手の手の平を力一杯握ります。握られた方は、腕を左右に振ってみましょう。生徒が私を握っている時に私が腕を振ると、手首がほとんど変形せずに腕から手までが一体となって動いています。私が握っている時には、手を振っている生徒の動きによって手首がクニャクニャと変形しているのがわかりますね。コツは、やはり「筋肉の選択的利用」にあります。

 多くの人が、ペグを回す時に手首を固定したり不要な力が入ったりしています。指と手首を動かす筋肉は、前腕部分の隣接したところにあるので、指に力を入れると手首にも力が入ってしまいがちです。そうすると、ペグを回すための腕と手首の運動が十分にできなくなり、ペグを自由に扱うことができなくなるのです。特に冬場にペグを押し込めながら回す必要がある時には、ペグの回転方向だけでなく押し込む方向にも力をかける必要がありますが、そのためには、腕や手首が柔軟に動く必要があるのです。

 ボウイングにも通じることですが、指をしっかり使っても柔軟性を失わないことは、楽器を演奏する時の身体の使い方の基本中の基本です。日常生活でも(キャップを回す、洗う、など)気をつけることができるので、皆さんも是非、心がけてみてください。

[ 2017/02/05(日) 13:12 ] 未分類| コメント(0)
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