クレモナの伝統料理って、何でしょうか? 少し南のパルマなら、「生ハム」「パルメジャーノ」などと簡単に上がるのでしょうが、「クレモナの料理って何?」と、私もまったくわかりませんでした。帰ってから「トリップアドバイザー」をちらちら見ているのですが、やはりとびきりの店はないようです。しかし・・・食べログ以上に当てにならんな、こいつは(苦笑)中国人がやっている得体の知れない(得体の知れない天婦羅に得体の知れないソースかけちゃうような店)日本料理屋が上位です(爆)
そもそも、イタリア北部のロンバルディア州は、食文化ではハム以外これといった特徴のない州です。ポー川流域の平野は、北部も南部も標高が高く、いわば「盆地」のようになっています。そのため、夏は風が弱く暑い、冬は寒さが厳しいのに湿気が止まって湿度が高い、というあまりありがたくない気候なのです。この湿度のために、culatelloのようにしっとりとした生ハムができる、という利点もあるのですが、食材も少なく(海が遠い。魚といえばポー川の魚くらい)、華やかなイタリア料理の雰囲気は全くありません。クレモナ県ときたら、イタリアで唯一、ちゃんとしたワインメーカーがないところらしい。そんなところなので、あまり期待もしていなかったのですが・・・
昨年9月に行った時から何回か行っているお店に、「Trattoria Cerri」があります。クレモナらしい料理を出す良店ということで、宿泊先のアストリアのスタッフおすすめのお店です(私は、クレモナ在住の永石さんに教えてもらいました)。ここは、バースペースが入り口にあり、営業時間は18:00から20:30、トラットリアは20:00から22:30というお店です。バースペースの外でも、グラスを持って談笑している人がいつもいる気軽に入れそうなお店。しかし、トラットリアはバースペースの奥で普段は扉もしまっていて、知らないと入りにくいかもしれません。入ってみると、かなり広めのお店でテーブル席は2部屋で40席くらいあるでしょうか。大人数での宴会でも十分に対応できます(雰囲気的にも)。実際、初めて行った時には10人ほどでしたが、余裕。
この店の最大の売りは「stinco di maiale al forno」(豚のスネ肉のロースト/stincoはスネ肉、maialeは豚、fornoはオーブン)です。stincoは、イタリア全土で食べられる料理ですが、ローストが一般的です。店によってはワインなどで煮ることもあるようですが、あたったことはありません。永石さんに連れられて最初に訪れた時、なんとバーでクレモナ四天王(勝手に私がつけました)が飲み終わったところ。四天王の一人、松下さんに「ここはstinco食べなきゃダメだよ。でもまだあるかなぁ」とオススメされたのですが、しっかり永石さんが予約してくれていました(^^)
クレモナ、というよりも北イタリア全体の料理ですが、tortelliもその時によって中身や味付けが違って楽しい。この店の基本パターンは「中身は肉系で、シンプルに茹でてチーズをかけて」です。今回は、同行した坂本くんが昼に食べていましたが、山羊肉を包んだものでした。
初回に行った時は、「あれも食べたい、これも食べたい」で大失敗。永石さんの「そんなに食べられる?」という心配をよそに、前菜のハム、tortelli、ニョッキ、手打ちパスタ(味は忘れた・・)と食べた後にStinco登場。こちらのテーブル(3人)で食べられるはずもなく、お肉は半分お持ち帰りになってしまいました。
このお店は、ワインも楽しく選べます。奥の部屋にワインがズラーっと並んでいる棚があり、じっくり眺めて「これ」というと、それが飲めます。値段も気にしなくて大丈夫。15〜20ユーロがほとんどで、高いものでも35ユーロくらい。飲んべにはたまりません。つい飲み過ぎてしまうのが難点・・・
クレモナ料理の店、といえば、「Ristrante Centrale」を外すわけにはいきません。外すわけにいかない理由は、良くも悪くもクレモナ伝統料理の王道だからです。このお店、テーブルが道(といっても狭〜い路地)から全部見えますが、お客さんがたくさん入っているのを見たことがありません。そのこと自体が評価を物語っていると思うのですが、今回初めて「怖いもの見たさ」で入ってみました。結果は・・・多くは語るまい・・・皆さんも、近寄らないほうがいいと思います。
イタリアは、以前書いたように「地産地消」が徹底しています。東京のように、日本各地のみならず世界中の料理が食べられることはありません。ローマやミラノ(特にミラノ)は、さまざまな国・地域の料理を食べさせる店があるようですが、これは例外。ですから、クレモナで食べる料理は基本的に北イタリア中部の料理です。どこにいっても同じような料理がある、と言ってしまうと面白みに欠けますが、それぞれの店の特徴を知ると、結構楽しむことができるのです。