サラサーテ編集部から「イタリアに行かない?」と言われたのは、もう何年も前のことです。おかげさまで、サラサーテにはたくさんの記事を書かせていただいていますが、「柏木の視点でクレモナを見て欲しい」と、ありがたい提案を受けていました。なかなか踏ん切りがつかなかったのですが、いろいろなことを考えて、思い切って来てしまいました。欧州は20年以上前に何度か来たことがありますが、イタリアは初めて。あれも見たい、これも試したい、と、事前の夢は膨らむばかり。しかし、やはり何と言っても、ヴァイオリンの歴史を垣間見ること、現在のイタリアは一体どんな楽器事情なのか、というのが最大の興味でした。
本音を言うと・・・季節は秋。秋といえば「きのこ」です。ですから、取材の後にイタリア西部のクーネオ県(地図のトリノのあたりです)で、大好きなネッビオーロのワインをしこたま飲みながら、ポルチーニ三昧をしよう、と決めていました。日本ではなかなか小売で手に入らないポルチーニですが、毎年、デパートのフランスフェアやイタリアフェアで限定的に小売されているポルチーニを買って、さまざまに料理をして食べています。日本ではかなり高価(十分に大きなものだと3000円くらいします)ですが、イタリアならほぼ10分の1。「食べ放題だ!」と、ワクワクしていました。ところが・・・
出発直前になってあれこれと打ち合わせをしているうちに、取材対象がどんどん増えて、結局、クレモナとミラノだけしか行けないことになってしまったのです(涙)「何のためにイタリアまで行くんだ!」としばらく荒れていました(違うだろ/苦笑)。
ま、気を取り直して・・・
日本からのエアラインは「カタール航空」で、ドーハで乗り継いで、ミラノまで約17時間の旅です。「え、み、南回り(汗)」という気分になってしまいましたが・・・
何せ、最初に欧州に行った時にはまだアンカレッジ経由だった年寄りです。20年近く海外旅行もしていません(パスポートが失効していました)。最近の事情など分からず、南回りというだけで「時間がかかる(昔の南周りは「各駅停車」でした)。機体がぼろぼろ。怖い」などと思ってしまいましたが、旅行好きの音楽仲間曰く「カタールとエミレーツが一番機体がよろしくて安全。乗り換えもヨーロッパまで1回。少し時間はかかるけど、乗り継ぎのドーハやドバイも面白いよ」だそうです。確かに、オイルマネーで発展したアラブ首長国連邦やカタールの発展ぶりは、さまざまなメディアで目にしていました。乗り込んだ機体は最新鋭のボーイングとエアバス。エコノミーでも、昔のものよりかなり楽になっています。客席の液晶パネルもとても進化していて、「すごいすごい」。ただし・・・・あらかじめ言われていましたが、機内食だけは「謎」でした(笑)。まぁ、アズールのコンサートの打ち上げから直接羽田に向かったので、どうせしこたま酔っ払っていましたが(爆)
ドーハ空港は、とにかく広い。砂漠のど真ん中で土地もいくらでもあったのでしょう、とにかく広い。2014年に運用が始まって滑走路はまだ2本しかありませんが、成田と比べるとその差は歴然としています。空港の施設内も、広くてとても綺麗。将来は、ドバイと並ぶハブ空港になるのでしょう。しかし、何と言っても、ドーハの目玉は「でっかいクマさん」です(笑)そして、空港内で、早速円安に衝撃。缶ジュースの類が300円くらいします。広い空港内を散策しただけで、何も買わずに乗り継ぎました(汗)
私にとっての最初のイタリアの地は、ミラノ・マルペンサ空港。イタリア第2の国際空港ということでしたが、「お客さん、少な!」という感じです。おっかしいなぁ、ミラノは万博もやってるはずなのに・・・そして、物価が高い(涙)ちょっと軽食を摂ったのですが、かるーく1000円を超えました。
ミラノの空港からクレモナまでは、ミラノのターミナルを経由して乗り換えます。いずれもほぼ1時間、計2時間の旅。「元てっちゃん」としては、わくわくと電車や車窓の写真を撮りまくり・・・
イタリアの鉄道は、「自己改札方式」です。自動券売機で切符を買って、自分で機械でパンチを入れる。降りるときも改札はありません。欧州は(地下鉄や高速鉄道を除いて)このスタイルが一般的みたいですね。なかなか興味深い。車内では、行き先の案内も駅のアナウンスも、しばらく止まっていたときの「おわび」も、なーーーんにもありません。知らないと絶対に降りれない。国際空港からの「エキスプレス」(「成田エクスプレス」NEXのようなもの)でこれですから、日本のような「親切」さはありません。でもいいですね、こういう緩い感覚!
ミラノの駅構内でSIMフリーの携帯用nano-simを買ったりして、少し時間がかかってしまい。クレモナに着いたのは、すでに夕方19時近く。今晩の公式予定は、楽器製作者が主催している、ヴァイオリンとピアノのコンサートを聴くだけです。ところが・・・
会場は風情のある「劇場」で、上から暗幕が垂れ下がりまくりで、響きは全く期待できません。ピアノは傷だらけのYAMAHAのC3。これで演奏が素晴らしかったら「さすが!」なのですが、演奏も・・・私が普段「やってはいけないよ」と教えていること、オンパレード。ピアノは外しまくり・・・さすがに、サラサーテ一行だけでなく、前半で退出する人が続出でした(汗)。
まぁ、いいんです。初日は「ジャブ」。コンサートの前後で食べた食事は「いたりあーん」な量(苦笑)。でも、安い店でしたが、ハムやチーズとワインはさすがに美味しい!! 12時頃まで、わいわいと飲んでいました。
さて、明日から本格的に始動です。いよいよ、クレモナ!!