昨14日、約3年ぶりに音楽理論講座を行いました。参加者は15名。題して「音程の間違えは何故起こるのか」
音程の仕組みや音律の話などは、事前にお配りした2冊の資料を読んで来ていただく、ということで、できるだけ実践に即した講座を心がけました。
そもそも音程を間違えるとはどのようなことか。「イメージはあるけど指がいかない」ということは、音程を間違える主因ではない。そして、音程を間違えたことに気づかないことが多いのは何故か、などを、理解していただくのが目的。数人の生徒に実際に楽器を弾いてもらって、まず、参加者が音程の間違いに気づくかどうか。そして、その間違いが何故起こるのかを考えていただく、というやりかたを主に、実際にみなさんの意識をチェックしました。
実際に聞いていただくと、まず、音程の感じ方も人によって違うことがわかります。同じ長三度を音域を変えて3回弾いた時に、「同じ長三度だ」と認識する人もいれば、全く違うものとして捉える人もいます。同じ旋律を少し音程を変えて(ピタゴラス的に、平均律で、少しメリハリを強調して)聞いていただくと、「どれがいいか」が分かれることもあります。テンポを変えると、旋律でもピタゴラス的に取ると不安になることもあります。こういった実例を取り上げながら、みなさんの耳の集中力を少しずつ上げていき、最後に応用問題をたくさん解いてもらいました。
生徒の一人にブルッフの協奏曲を少しずつ弾いてもらっての間違い探しが、最後の課題。旋律が外れたりすると、みなさんすぐに反応しますが、装飾音や移弦、ポジション移動、音域の変化などの「イベント」があると、なかなか間違いを見つけられないこともあります。そして、私が正しい音程で弾いてみると「ああ、そうか!」と納得。聞く時にも気がつかないのですから、弾いている方が気がつかないことも多いのです。そうした「気づかない誤り」が何故起こるのかを、脳の働きを考えながら解説しました。
「聞いているようで聞いていないんですね」
「単に注意力を上げようとするだけではダメだということがわかりました」
久しぶりの講座で少しばかり不安もあったのですが、予定時間を45分もオーバーして終了。終了後に近くの自然食のお店に移動して「おつかれさま!」そこでも楽しい会話をたっぷりと。8時間以上お話をして、気持ちのよい疲れでゆっくり休むことができました。参加者のみなさん、おつかれさま、そして、ありがとうございました。