柏木真樹 音楽スタジオ

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たっぷりのオリーブオイルにスライスしたニンニクを投入。中火でよく火を通します

普段、夕食は仕事が終わって帰ってから作ります。仕事が終わるのが22時ごろのことが多いので、帰宅(通勤時間10分)してから料理。かけられる時間は2、30分しかありません。煮物や冷製などは朝作ってしまうのですが、じっくりと料理ができないのは結構悲しいものがあります。料理すること、美味しいものを食べることは、普段のストレス発散だったり、楽しみだったりするからです。

料理をする楽しみは、音楽のそれに似ています。良い食材(良い曲)、良い道具(良い楽器)、食材にあったレシピ(曲にあった奏法や弾き方)、そして独創性。これらが揃った時、とても幸せな料理(演奏)が出来上がるのです。味も、曲を弾く時のように「こんな風にしたいな」と考えていると、だんだん思い通りのものが作れるようになるはず。

最近はとても忙しくて(それ自体は大変嬉しいことなんですが)朝もゆっくり手間をかけた料理をすることがなかなかできないのですが、今朝はちょっとばかり早く起きたのと、どうしても使わなければならないものがあったので、1時間ほどかけてパスタを作りました。

使わなければならなかったのは、鯛の兜とカサゴの頭とアラです。

普段、魚はとあるデパートの地下で買います。デパ地下の食材、というと高いと思う人も多いと思いますが、実は、買い方によっては普通のスーパーよりお得なことも多いのです。ポイントは、値引きをする権限を持っている店員と仲良くなること、夕方に買うこ

あたまとアラを投入。鯛は下塩がしてありましたが、カサゴはしていなかったので、熱湯をくぐらせて下塩をしてから投入します。

あたまとアラを投入。鯛は下塩がしてありましたが、カサゴはしていなかったので、熱湯をくぐらせて下塩をしてから投入します。

と、できるだけ丸物を買うこと、ですね。

デパートの生鮮売り場では、値引きをする権限を持っている店員とそれがない店員(多くはパートだと思う)がいます。通っていると、なんとなくわかりますから、狙い撃ちして買うようにすると、だんだん仲良くなれます。そうなると、夕方になるとかなり割引してくれたり、おまけをつけたりしてもらえる。もう一つは「これがいいよ」と勧められた丸物はできるだけ買うこと。売れないと翌日回しになって引いて売らなければならないものは、夕方だとかなり割引してもらえます。あとは、干物を作るようなものはまとめて買う。「2本780円」と値段が付いていても「10本2500円(場合によってはもっと安い)」とかで買えてしまうこともありますよ。

丸物を買うと、アラが付いてくるのが嬉しいですね。買い物を上手にすると、かなり遊べます。金目などは、身を切り身で買うと結構割高ですが、丸物なら大きい物でも大丈夫。大きな金目を手に入れると、頭で酒蒸しや煮物、半身は塩焼き、残りの半身はお刺身、と、3日楽しめます。1食あたりにすると、それほど高い買い物ではありません。

十分に火を通したら、白ワインたっぷりとお水を少し加えます。火は強火で

十分に火を通したら、白ワインたっぷりとお水を少し加えます。火は強火で

さて、鯛の兜は天然物。それほど大きくありませんが、一昨日、刺身にした残りを安く買えました。なぜか3枚セット(笑)。2枚は買った日に酒蒸しにしましたが、ひとつだけ余ってしまいました。軽く塩をしてクッキングペーパーで丁寧に包んでおいたので、2、3日は大丈夫。カサゴは、昨日丸物を買ったアラです(身は、お刺身で食べました)。

 最初は、オリーブオイルでニンニクスライスをじっくり炒めます。ガーリックオイルは、時間をかけて作るのが肝心。包丁で潰したニンニクなら、弱火で20分以上かけてコトコトと「煮る」のがコツです。今日はスライスで作ったので、炒めたのは5分くらいですが、この料理にはこれで十分です。

そして、兜とアラを投入して、じっくり焼きます。今日はこの組み合わせでしたが、出汁の出る白身であれば、なんでも大丈夫です。というか、ほとんどの魚は 、アラから良い出汁が出ますから、できます。

十分に火が通ったら、強火にして、白ワインを加えます。少し水分が足りなければ、水を加えても大丈夫。もちろん、ここまでの工程は、あらかじめフュメが取ってあれば簡単です。

左はほぐした身。右はアラを越したスープです。ここまでくればあとは簡単

左はほぐした身。右はアラを越したスープです。ここまでくればあとは簡単

面倒なのはここから。十分に味がでたころを見計らって弱火にして、頭やアラから食べられそうな身を外していきます。できるだけたくさん身がほしいのですが、頭は特に骨が多いので、丁寧に外していかないと骨が残ってしまいます。高級レストランなら、フュメはフュメだけでとって、身の部分を使って作るのでしょうが、それではコストが高すぎるので、頑張ってむきむき、ほじほじします。

 あれだけあった頭とアラも、身をほぐしてみるとそれほどたくさんはありません(涙)。でも、とても美味しそうなスープが取れました。これで準備万端。パスタを茹で始めます。

この手の料理には、表面がザラザラしたパスタが合いますが、魚のラグーであれば、ペンネなどではなく、やはりスパゲッティがいいでしょう。私は、この料理には、ディチェコのNo.11を使います。バリラの方が作ってからの状態保持は長いのですが、表面のザラザラ優先です。パスタがソースを「纏って」くれるものが良いように思います。

鍋に残った味が勿体無いので、鍋は洗っていません。

鍋に残った味が勿体無いので、鍋は洗っていません。

バターに身を投入したら熱くなるまで炒めます。その後、パスタの茹で汁を少し入れて、十分に撹拌します

バターに身を投入したら熱くなるまで炒めます。その後、先ほど取ったソースを加えて温め、パスタの茹で汁を少し入れて、十分に撹拌します

先ほどアラを焼いた鍋は、洗わずにそのままとっておきます。その鍋にたっぷりとバターを投入。ほぼ溶けたら、身を入れて十分にあたためます。そのあと、先ほど越したソースを入れて、少しだけ「ぐつぐつ」と。ぐつぐつ煮すぎると、嫌な臭いが出たりせっかくの香りが飛んだりしますから、注意が必要です。

私は、バターは無塩のものを使っています。この手の料理には有塩のものでも大丈夫だと思いますが、塩加減を自分でコントロールしやすいのは、やはり無塩のバターですね。

時間を見計らって、「アルデンテまであと1分」というところで魚の身が十分にあたたまるようにします。そこに茹で汁を少し加えます。加えたあとは、しっかり撹拌します。この作業が足りないと、パスタに十分にソースがからみません。

「乳化」は、油臭さを減らすだけでなく、粘りを出してパスタにソースがうまく絡むようにするための大切な作業です。乳化が不十分だと、ソース

ソースを投入。暖まった頃に茹で汁を加えます

ソースを投入。暖まった頃に茹で汁を加えます

とパスタが別々のように感じてしまいます。ペペロンチーノやボンゴレ・ビアンカのようなシンプルなものも、しっかりと乳化させることでとても美味しい仕上がりになります。

「乳化」の大切さを教えてくれたのは、大好きなイタリアン、カノーヴァのシェフです。このお店については、また改めて書こうと思いますが、このシェフ、尋常ではありません(私は「変態シェフ」と呼んでます/笑)。どう変わっているかというと・・・とにかく、なんでもとことんこだわるのです。その割に食べログの点数が低いのは・・・理由があります(笑)。でも、ここの常連もシェフも、点数が上がらないことをいつも祈っています。点数が上がってしまったら、行きたいときに行けなくなるし、シェフも「点数目当てでくる客じゃなくて、本当に自分の料理をわかってくれる人に作りたい」という方だからです。何かの間違いで、ミシュランの調査員が訪れてスペシャリテを食べないことを祈るばかりです(苦笑)。

さて、あとは、塩加減を味見して、胡椒を加え、茹で上がったバスタを投入。じっくりとソースに絡めて出来上がりです。

できあがりです。パスタがソースでキラキラとしているのがわかると思います

できあがりです。パスタがソースでキラキラとしているのがわかると思います

今日の相方は、ルッコラのサラダ

今日の相方は、ルッコラのサラダ

 パスタはソースを十分に纏っていて、とても美味しい仕上がりになりました。

今日の相方は、ルッコラを使ったサラダ。サラダは、何種類かの野菜(今日は、玉ねぎ、きゅうり、人参、レタス)をマリネして、そのあとからルッコラをそのまま混ぜました。生野菜をそのまま出してドレッシングをかける、という食べ方はしないので、いつも、基本的には塩胡椒とレモン果汁でマリネしています。オリーブオイルなどは使いません。特に美味しいオリーブオイルが手に入った時などは、たまに使うこともあります。

というわけで、全行程でちょうど1時間。美味しい朝ごはんになりました。

[ 2016/08/14(日) 19:58 ] 日記, | コメント(0)
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