久しぶりに、テツラフの来日コンサートを聴きました。実は、テツラフは最初に来日した時から注目していた演奏家で、今回も楽しみにしていたものです。ヤナーチェク、バルトーク、ヤナーチェク(ピアノソロ)、バルトーク、という「滅多にない」プログラムでしたが、チケットは完売し、熱心な聴衆で満員になりました。「うるさがた」の音楽評論家もちらほら。
私がテツラフのコンサートに興味があるのは、テツラフがさまざまな工夫や考え方を見せてくれるからです。過去数回のコンサートでも、ボウイング(スラーのつけ方にあらず、ボウイングの根本的な発想)にとても興味を引かれたことがあります。今回も、前々回とはかなりボウイングの趣がかわっていました。曲目のせいかもしれませんが、非常に「なめらかな」ボウイングです。
それにしても、非常に気持ちのよい演奏でした。エキセントリックな音程が全くなく、いらいらしません。高めに上ずってしまう演奏がかなり多いと感じているのですが、そうした違和感が全くありません。もちろん、技術的にも非常に高度で安定感があります。難曲ばかりでしたが、どれも十分に楽しめました。チケットの入手がなかなか困難な演奏家の一人ですが、次回はできるだけ生徒さんたちにも聴いて欲しいと思いました。