柏木真樹 音楽スタジオ

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20
Nov.
2012

報道によると、レッスンの友社が廃業するようだ。

東京商工リサーチ

方針の違いから社長と「大げんか」をして中途半端な形で止めたとはいえ、「ストリング」誌に連載を書かせていただいて大いにお世話になった会社だ。大山さんの楽譜も出版されている。残念でならない。

近年の不況の中で、音楽出版はどこも非常に厳しい状況に置かれている。音楽之友社のような老舗ですら、経営が危ぶまれている。インターネットの発達などの外的要因も大きい。音楽文化を担って来た存在が存亡の危機にあるのは、レッスンの友社だけの問題ではあるまい。

最近は、無料の楽譜などが簡単にダウンロードできるようになってしまった。楽譜はまさに音楽文化を世代を超えてつなげて来た役割を果たしてきたわけだが、そうした出版社も安泰ではないのではないか。

連載当時のストリング誌

「ストリング」誌に関して言えば、はっきり言って「歴史にあぐらをかいて来た」ところがないとは言えないと思う。雑誌として売り上げを伸ばす努力が足りなかったことは確かだ。しかしながら、演奏家の注釈をつけた楽譜の出版など、貴重な財産もたくさんある。こうした資料が、きちんとした形で後に残ってほしいと思う。

世の中は、「売れない」文化を切り捨てる方向に向かっていると危惧せざるを得ない。文化が育んで来た精神的な財産を、金銭に換算しなければ理解できない人が増えているのかもしれない。音楽を末端で担うものとして、自らの活動を十分に検証し、歴史に耐えるものになりうるのかどうか、より厳しく見直さねばならないだろうと思う。

[ 2012/11/20(火) 18:26 ] 日記, 著書・雑誌| コメント(0)
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