大分時間が経ってしまいましたが・・・
恒例になっている日立の老人施設でのコンサートです。こちらのコンサートは、入所者だけでなく、デイサービスの人たちなどもいて、いつもとてもたくさんの施設利用者に聴いていただいています。
今回のプログラム
- モーツァルト:メヌエット
- サラサーテ:アンダルシアのロマンス
- 琵琶湖周航の歌
- 浜辺の歌
- 待宵草
- ブラームス:ハンガリー舞曲第5番
- マスネ:タイスの瞑想曲
- 夕焼け小焼け
- (以下、アンコール)
- 千の風にのって
- チャールダッシュ
(一緒に歌を歌う時には、ピアニストはマイクを持って、私は歩きながら弾いています。皆さんのところを回れるように、できるだけ中に入って弾くようにしています。)
老健施設ですので、元気がなくなってしまう方もいらっしゃいますが、多くの入所者が楽しみにしていてくれています。毎回のように、何かの発見があるのも面白いですね。
この日は、もうすぐ97歳になる男性(Tさん)に驚かされました。この方、90を過ぎてから独学でキーボードを弾き始めた、というとんでもないレイトスターターです。コンサートでも、毎回のように終ってからお話をしていました。いつものように終演後に私たちのところにやってくると、「先生、ちょっと聞きたいことがあるんですけど」と私に質問です。
「千の風にのっての、ここのところなんですけど」
(と、指し示されたところは、同じ音が3つ続くところ)
「先生は、同じ音でも弾いている時に弾き方を変えていますか?」
「はい。変えてます」
「どうやっています?」
「ヴィブラートを変えたり、音の長さを変えたり、指を入れ替えたりしてます」
(といって、数カ所弾いてみせる)
「なるほどねぇ・・・」
(Tさん、しばらく考えて)
「キーボードで弾くと、歌のように聞こえないんですよ。それが、先生のヴァイオリンだと歌みたいに台詞が聞こえるんです。何でかと思ったので・・」
一緒に話を聞いていたピアニストの友人もびっくり。ちゃんと、聞き分けているんですね。ちょっぴり感動しました。
いろいろなことがありますが、同じ施設に定期的に通うことは、(演奏する側にとっても)楽しいし勉強になります。これからも続けていきたいと思っています。