11月3日、弦楽器のトレーナーをさせていただいている東京グリーン交響楽団の定期演奏会がありました。指揮は栗田博文さん、プログラムは
- ベートーヴェン:「コリオラン」序曲
- モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」
- サンサーンス:交響曲第3番「オルガン付き」
- アンコール:ドヴォルザーク:スラヴ舞曲より第1番
グリーン交響楽団のトレーナーをさせていただいてすでに5年になります。私がトレーナーになった当初は弦楽器の団員が少なく、ヴァイオリンが2人、なんていう練習になってしまったこともありましたが、最近は人数も増えて安定した状態で練習ができるようになっています。今回は前半に古典派の曲が2曲ならんだので、少しばかり古典派の話をさせていただいたのですが・・・
全奏の前に弦分奏が2度あったので、モーツァルトやベートーヴェンの弾き方の話をしたのですが、結果としては栗田先生のイメージとはかなり違っていたようで、申し訳ないことをしてしまいました。最初に打ち合わせをしておくべきだったと反省。しかし、弦楽器として古典派の曲に対してどのようなイメージをもって奏法を選択するのか、ということについては、かなり理解していただけたのではないかと思います。
モーツァルトは、とても懐かしい演奏でした。第1楽章のテンポは約126。これは、カール・ベームやカラヤンなどよりもかなり遅く、ワルターの演奏と全く同じです。実は私が幼少期に聞いていた演奏が、まさに父親が持っていたワルターの全集のものだったのです。演奏家が自由にテンポや曲想を決めていた「古き良き時代」のテンポ設定ですね。また第3楽章のメヌエットで、「音をひとつずつニュアンスを持つことができるテンポで」という指示がありましたが、まさにカラヤンがインタビューなどで語っていた通りのことでした。私が持っているモーツァルトのイメージとは全く異なりますが、栗田先生のイメージがとてもよくわかるモーツァルトだったと思います。
サンサーンスでは大きなトラブルがありました。オルガンの調子が悪く、弾いていない音が鳴り響いてしまったのです。たまにあることだそうですが、団員の皆さんにはとても残念なことだったと思いました。
演奏は、短期間の練習(いつもより1〜2ヶ月短い)にもかかわらず、みなさんよく闘っていたと思います。アンコールも含めて非常にタフな曲目でしたが、練習の成果が実を結んだところも少なくありません。トレーナーの立場としては、もう少し練習時間がほしかったということが本音ではあります。
弦楽器のアンサンブルを向上させるために、また、基本的な奏法やイメージをつくるためには、古典派の曲を定期的に取り上げることはとても大切だと思います。グリーン交響楽団がさらによいオーケストラになることができるように、私もできるだけの協力をさせていただきたいと思っています。