仕事の話を全然書いていないので(汗)簡単に。書けないこともたくさんありますが、「何やってるの」がわかる程度にご報告いたします。
前回、今回のクレモナ滞在は、9月に予定しているワークショップと小さなコンサートのための準備でした。これから詳細を詰めていくところですが、ワークショップは20日から22日、コンサートは25日に決定です。詳しい情報は、決まり次第サイトでお知らせいたします(サラサーテ誌でも告知いたします)。
イベントのための準備として、2月も今回も、クレモナの製作者めぐりをしました。また、クレモナの製作者に声をかけていただいて、プレ・ワークショップを行いました。今回は、クレモナ弦楽器製作者協会に協力していただいて声をかけていただいので、お会いした製作家のほとんどが協会の方でした。私としてはとても充実した4日間でしたが、9月の本番に向けての問題点もはっきりしましたので、これから準備を加速したいと思っています。滞在中の活動の一部をご紹介します。
今回の工房訪問は「こんな楽器にしてほしい」という注文に製作者がどのように対応するか、というやりとりをすることが基本です。演奏家との交流が少ないクレモナの製作者にとっては、私のようなヴァイオリン弾きの意見でもとても貴重なもののようで、一緒に楽器を調整して、出来上がった楽器をさまざまな方法で音の状態を変えていく、というものです。
初日(クレモナ滞在の2日目)、最初にお邪魔したのは、Benedicte Friedmannさんの工房。Duomoのすぐ東側にあります。とても素敵な女性の製作者で、やりとりは予定の時間を過ぎて「次がぁ・・・」と通訳担当の高橋さんをやきもきさせてしまいました。(写真が全部私とのものでごめんなさい・・・よく考えたら私は余計だったですね)
次は、Edgar Russさん。たくさんのスタッフを抱えた、「やり手」の方です。訪問すると、楽器がずらーーーーと並んでいました(汗)。とりあえずRussさんの3台の楽器を使って調整の実験。かなり大きく変わったので、Russさんが「これも何とかなる?」と取り上げた楽器(Russさんのものではない)も対象にあれこれと。なかなかの成果で「毎月来ない?」と言われました(とっても嬉しいけど/汗)。
次に訪問したPatrizio Orippiさんは、奥様が日本人。それにしても、クレモナにはたくさんの日本人がいます。製作者も片言の日本語を話す方が多く、高橋さんに連れられて工房を訪問したり街中で(高橋さんの)知り合いに出会うと、「こんにちは!」とか「元気?」とか、よく声をかけられました。
この日は、コンサートを決めることも大きなテーマ。私としては、9月に弾かせていただいたS.Rita教会でやりたかったのですが、事前にしっかりした交渉ができず、ほぼぶっつけで交渉。教会の神父さんは、とても怖そう(3人の日本人製作者が口を揃えて/笑)でしたが、私は感じなかったなぁ。むしろ、冗談好きなおじいさん、という感じです。「礼拝がない時間ならいいよ」ということで、コンサートの日程はあっさり決まりました。とっっっても嬉しい!
教会に連れて行っていただいたMassimo Ardoliさんの工房には、根本くん、吉田さん(サラサーテ誌に詳しく書きました)の他に次の若手日本人(製作学校の3年生。「あるか」さん・・・名字が思い出せない/汗)もいます。さすが教育者Massiomo先生。根本くんとマエストロの楽器をネタに少々お話。(ご参考までにhttps://maki-music.net/blog/20150929maestro-massimo)
翌日も、工房めぐりとワークショップの打ち合わせ(ヴァイオリン博物館)で明け暮れました。
この日はAlessandro Commendulliさんの工房からスタート。楽器についてあれこれと話し合っている間中、熱心に図入りのメモを取って、調整をし直し。音がどんどんアクティブになっていきました。陽気な楽しい方ですが、楽器の話をしているときは真剣そのもの(みなさん、本当に楽器が好きなんですね)。
次はPablo Fariasさん。タイミング良くコンテストに出す楽器があって、それを題材に調整について議論。少しずつ音が変わっていく楽器を前に、「9月は予約しておくぜ」と言われました。素直にうれしい。
途中、高橋さんの工房にお邪魔したりミーティングなどを挟んで、この日の訪問の最後はDaniele Tonarelliさん。とても綺麗な工房で、よく鳴る楽器を見せていただきました。やはりイラストを描きながらいろいろと議論させていただきました。
高橋さんの工房と、お師匠さんのConiaさんの工房にもお邪魔しました。
3日目は、いよいよ今回のメインイベント、模擬ワークショップです。会場はクレモナ商工会議所の会議室。
14時スタートだったのですが、14時の時点ではだーーーれも来てない(汗)。いやぁ、本当にイタリア時間です(笑)。10分過ぎたころからわらわらと集まってきて、最終的には10人になりました。「14時からミーティングをやるときには13時30分、と書かないと14時には始まらない」と、高橋さんが苦笑いしながら「クレモナ流」を説明してくれました。15分には始められたので、優秀な方でしょう(笑)
ワークショップは、高橋さんとマッテオさん(高橋さんの友人の音楽プロデューサー。日本語ペラペラ)のお二人に通訳をお願いして、演奏者が楽器をどのように感じるかを説明し、集まった5台の楽器をあれこれと調整しながら進行しました。製作者の方からは、どんどん質問が飛んできて、2時間半があっという間に終わってしまいました。参加してくださったS.Coniaさん(父)の存在感、なかなかでした(^^)
9月のワークショップは、Consorzio(製作家協会)だけでなく、クレモナ全体の製作者に声をかけていただく予定です。今回以上に、綿密に準備をして臨みます。
この日の夜は、高橋さんとMassimoさんのところで働いている若手3人と一緒に、ナポリピザを。あるんですね、クレモナにも(笑)。それにしても、食べ過ぎだ・・・ハムとチーズにだんだん慣れていく自分が恐ろしい・・・かなり太った感じがします(涙)
最終日も、工房めぐり。Carlos Robertsさんの工房は、Duomo(大聖堂)の目の前です。同じ建物の通路を挟んでもう一人の製作者が工房を開いていたのですが、あまり仲はよろしくない様子(汗)。ご近所付き合いが難しいのは、いずこも同じですね。2台の楽器を弾かせていただきました。古楽器もたくさん作っている方らしく、面白そうな楽器がたくさんありました。
次に、ご夫婦で工房を開いているJostとRibesさんのところへ。1Fにはソファーなどがありゆったりスペース。階段を上がって2Fにおしゃれな工房。面白い著作を見せていただき、お二人の楽器を前にしてかなり面白いお話ができました(ヴァイオリン作りの常識に反するそうで、高橋さんがのけぞっていた/笑)。今は内容は書けません、ごめんなさい。
4日間、多くの工房を回ることができました。どこも「次に行かないと間に合わないから先にいきまーす」と、少し時間が足りない感じでした。
クレモナも3回目なので、もう地図なしで歩けます。「現地集合!」も増えました(^^)。たくさんの製作家とも知り合えて、嬉しい限り。次は9月です。万全の準備をして行こうと思います。