昨日、「楽器の簡単な調整と音の違いを知る」と題した講座を行いました。定員20と考えていたのですが、参加者は18名。丁度良い人数で、ぴったり時間通りに終わりました。参加してくださった方、ありがとうございました&お疲れ様でした。
講 座は、まず楽器の音を変化させる要素を、駒、魂柱、テールガット、弦の張り方の4つに分けて解説し、その中で自分でできること、できないこと(技術者にま かせるべきこと)を切り分け、持参していただいた楽器を1台1台、調整していきました。魂柱は(動かせないこともないのですが)、とりあえず除外。
見せていただいた楽器は、製作された場所も年代もバラバラでしたが、私にもよい経験になりました。
器具を何も使わずできることは、
1)音を大きくする
2)響きを増やす、ないし、音を明瞭にする
3)特定の弦を強くする(弱くする)
4)音が抜けるように(そば鳴り、箱鳴りを改善する)する
などです。
1台ずつ弾いてみて、「どのようにしたいですか?」を確認して、調整。
こちらからも「もっとこうした方がいいと思う」と提案。
その後、あれこれと微調整して「納得」というところまで持って行きました。
きちんと調整してある古い楽器は難しく(表面的な調整だけでは大きく変化しない)
1台はある意味で手に負えなかったのですが、他の14台はそれなりに満足してもらえました。
駒を移動する距離は、ほんの10分の1ミリ単位ですが、それでも音は「うそ」というくらい大きく変化することが多いのです。自分の楽器の音が変化するのをみて、みなさんビックリしていました。
面白かったのは、あるベテランのかなり良い楽器。
試奏してみて「A線が全く響きがないね」と言ったら「それが悩みなんです!」
調整自体はそれほど悪くないのですが、全体的にも響きが少なく、とにかくA線に全く響きがない。一番大きな原因は、弦の巻き方でした。弦を巻き直して弾いただけでA線に響きが出て、みなさんびっくり。その後、少し駒も動かして響きを増やして完了しました。
講習会後、近くの焼き鳥屋さん(Brochette Namioka/お気に入りです)で懇親会。ほどなくクレモナの作家、高橋修一さんも参加して、3時間ほどワイワイと楽しいお酒を飲みました。
7月10日のクロサワバイオリンでのワークショップは、時間が短いので限られた楽器の調整になりますが、リペアラーの長谷川さんにも協力していただいて、魂柱についても試してみようと思っています。