私が住んでいる区では、この4月、5月から、区民が利用する施設の運営方法が変更になります。また、施設自体も統廃合されます。お題目は、「高齢化社会を迎えての、効率の良い福祉的運営」だそう。そのために何がされるかというと、老人施設の廃止、サービスの「効率化」と、シルバー人材センターの区の施設の運営からの「閉め出し」です。ご自身は老後に何の心配もないであろう心優しい我が区長さんは、「行政に頼らずとも生きていけるために、老人はもっと自立しなさい」と、これらの施策を決めたのでしょう。
私も、区の施設は頻繁に利用しています。練習やアンサンブル、講習会など、近くのホールや練習室、和室などを使っています。そのうち二つは、いわゆる「寿会館」で、日中はお年寄りのための施設として、無料の入浴施設や各種の活動を行っているところですが、4月1日から、そのうちの1つが閉鎖されます。また、これまでこれらの施設を運営管理していたシルバー人材センターは、「平等の原則と効率化」で、一般入札によって仕事を失いました。
閉鎖される寿会館は「古い」ということでつぶされるのですが、実は、残される寿会館の方が古く、部屋数も少ないのです。ただし、つぶされる会館は大通りに面した角地にあり、整地して売り払えばよい値段で売れる「物件」で、残されるものは、路地に面した住宅地なので、用途も限られていますから、高くは売れないでしょうね。隣に保育施設があるために、建て替えるにしても制約がありそうです。行政としては、効率的な福祉を行うために「売り払いやすい方をつぶしたかった」のだと思います。
各会館で運営事務をやっているお年寄りの方達は、みなさん非常に親切で、顔なじみにもなっていたので、とても残念です。リタイアした後も、社会に参加されている意識と仕事をしている充実感は、みなさんにとってもかけがえのないものであろうと思います。そういったものを、行政に頼らずに自分で何とかしなさい、という我が区のこの施策は、これからますます高齢化社会が進んでいく中で、効率の良い小さな政府を目指すいわゆる「小泉改革路線」にとって、非常に良いモデルになるでしょう。