身辺多事で、なかなか更新できませんでした。
明日は、東京グリーン交響楽団のコンサートですが、まる5年以上続けてきたトレーナーを、今回11月20日の演奏会をもって退任します。私の勝手な都合でまことに心苦しい限りですが、みなさんにはご了解をいただきました。
そもそもこのオーケストラのトレーナーに就任したのは、まったくの偶然からでした。私のようなプロのオーケストラ奏者としての経験がほとんどないものが企業オケのトレーナーになるなどということは珍しいことですが、それなりに役目は果たせたのではないかと思っています。
就任当初は、弦楽器の分奏をしようとしてもほとんどメンバーが集まらない状態でした。特にヴァイオリンが壊滅的で、1人とか2人しかいない、ということすらあったくらいです。メンバー自体が少なかった上に、分奏の習慣が定着していなかったこともありました。しかし分奏を重ねる間に次第にメンバーが定着して、分奏に出席する団員も増えて行きました。ここ2年くらいは、毎回、分奏にもきちんと出席する団員がほとんどになり、練習の体制が安定してきました。
私自身がいくつかのアマチュア・オーケストラに在籍したりトレーナーをしていたこともあり、オーケストラのトレーナーのありかたについてはいつも考えてきました。自分がやってきたことも含めて、いちばん大きな不満は「オーケストラの力量そのものをアップさせることの難しさ」でした。
活動が活発なアマチュア・オーケストラであれば、年に2、3回のコンサートを行っているのが普通です。全体練習の回数を考えると、分奏に割ける時間はそれほど多くありません。そのなかで、トレーナーはどうしても演奏会の曲を仕上げるための練習ばかりに注意が向いてしまいます。やるべきことは多く、特に演奏が難しい曲になればなるほど、縦を合わせたり音程を揃えたりという練習が中心になってしまいます。
こうした練習ではオーケストラの力量は向上しない、とは言い切りませんが、演奏会の度に「リセット」されてしまうことが多いことも残念ながら事実です。そこで、演奏会に向けての練習を少し削ってでも、基本的な体の使い方やアンサンブルのこと、そして楽譜の読み方などのお話をしてきました。少しずつ、その成果が定着し始めたのは確かだと思います。
今回の演奏会ではプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」をやりますが、難曲であるにもかかわらず練習期間が短かったことが心残りです。しかし、今回は私もヴィオラで参加させていただきますので、最後まで楽しみながら演奏したいと思っています。