チケットをいただいたので、アズールの練習後、表題のコンサートをサントリーホールで聴きました。オーケストラ、指揮者共に、ショパンコンクール本選のままです(オーケストラはワルシャワ・フィル)。非常に興味深いものでした。出演者は4位になった日本人二人と、優勝したポーランド人。2、3位ではなく4位の日本人だったのは、日本で行うコンサートだからでしょう。恐ろしく強気の値段(S:12000)なのに、ほぼいっぱいです。日本人はショパンが好きなんですね。曲は全員、ショパンの1番。
一人目の日本人は、とてもセンスの良いピアノでした。音もきれいで、なかなかのもの。ただし、決定的に音量がありません。二人目は対照的。音量はあるのですが、ひっぱたくようなタッチが多く、ペダルも過剰で音質が良いとは言えない演奏です。この二人の演奏の間のオーケストラは、「しょうがねぇ、嫌だけど伴奏してやるか」という態度が見え見えでした。特に一人目はとても可哀想な状態。音量がないためでしょう、オーケストラがほとんど反応しないのです。二人目の時は、少しばかり反応していましたが、それでも「お仕事」という感じ。
ところが、三人目になってオーケストラが豹変します。前奏からやる気満々で、音量も表現力も全く別のオーケストラのようになりました。ピアノが始まって、ある意味で「納得」です。最初の音こそやや雑でしたが、最初の二人とは「モノが違う」ことが歴然としていました。音色の多彩さ、表現力、何をとっても、全く別の曲に聞こえるのです。自国の若者、ということもあるのでしょうが、オーケストラも「ノリノリ」状態。お客さんも大満足で、アンコールを4曲も弾いてくれました。特に、2曲目に弾いたマズルカは、今まで聴いた中で最高の演奏だったと思いました。非常に楽しみなピアニストです。
しかし・・・コンクールって、怖いですねぇ。同じ曲ですから、お客さんにはっきり優劣がわかるだけではなく、伴奏のオーケストラまでこんなに変わってしまうのですから。