今日は、昔一時期お世話になった先生のお宅にお邪魔しました。先生は体を壊されたあと、「一生弾き続けることができる奏法」を研究され、最近ヴァイオリンを教える現場に戻ってこられました。先日お電話をいただき、ヴァイオリンを教えることや奏法についてお話をさせていただくためにお伺いしたのです。二時間あまりのことでしたが、いろいろと興味の尽きないお話をさせていただきました。
先生がそうした奏法を考えられたのは、もちろんご自身が体を壊されてヴァイオリンを弾くことが困難になったということが直接的なきっかけですが、背景には「日本人は老齢になると弾けなくなるのに、欧州には70になっても80になっても弾いている人がたくさんいるのは何故?」という疑問があったそうです。行き着いた結論は、「普段の生活と同じ体の使い方が基本にあればよい」ということが基本になっています。基本の動作も、ヴァイオリンを弾く作業も、日常生活で普通に使われる体の使い方をベースにした発想です。もちろん、私もヴァイオリンを弾く運動を説明するのに日常での体の使い方を利用することはよくありますが、先生の発想はもっと徹底したものです。電話で最初にお話を伺ったときには驚きました。いわく、「楽器は握っていいのよ」「指は弦と弦の間に置くの」「腕が動いて弾くんじゃないのよ」などなど。
じっくりお話を聞くと、なるほど、と思わせることがたくさんありました。私のアプローチとは全く違いますが、先生の「ヴァイオリンは誰でも弾けるの、すぐに弾けるようになるのよ」という言葉は、先生の生徒さんをとても力づけているのだろうと思いました。またゆっくりお話をさせていただいて、どこかにご紹介したいと思った次第です。