昨年に続いて、イタリアで学んだ若手製作家の展示会「Violin exhibition 2017」にでかけました。場所が谷中なので、スタジオからも近いので、レッスンの空き時間に行くことができました。
日暮里駅から歩くのですが、駅には「谷根千調査隊」の「ねこ」ポスターが(笑)思わずじっくり見てしまいました。スタジオ周辺(駒込)も下町らしく地域ねこが多いのですが、谷中はとても有名な「ねこスポット」です。今回は出会えませんでしたが・・・
余談はともかく・・・
昨年と同じ、寺町美術館での展示会には4人の若手製作家の楽器が展示されていました。4人の簡単なプロフィールです。(敬称略)
●我孫子康二
大学卒業後、宮大工として働く傍ら楽器製作を始め、日本及びイタリアで製作を学ぶ。現在は日本で製作・修理を行っている。
●藤井太樹
高校卒業後クレモナの製作学校で学び、卒業後もアシスタントとして働く。現在は東京で楽器製作、修理を行っている。
●藤田鉄平
パルマの製作学校で学び、パルマ及びモデナの工房で働いている。複数のコンクールで入賞している。
●矢久保圭
日本で楽器製作の勉強を始め、クレモナの製作学校で学ぶ。複数のコンクールで優勝、入賞し、現在は沖縄で楽器製作をしている。
クレモナ通いが始まってから、楽器に対する私の感覚は大きく変化しました。極端な話「古ければ古いほどいい」と思っていたくらい新しい楽器に興味がなかったのですが、一つ一つの楽器をじっくり見ることで、今は十分に良い楽器があると思えるようになったのです。確かに、イタリア、特にクレモナのヴァイオイリンは「クレモナ製だから」という理由だけで無茶苦茶な値段が付けられていたこともありますが、今はかなりまともになってきたと思います。実際に私の生徒でクレモナの新作楽器を購入する例も出始めています。製作者と密にコンタクトが取れるので安心感もあります。イタリアで学んで日本で製作している人の楽器は、ものがよければ「日本で買える」という地の利もあります(持ち込むための費用がかからない)ので、とても興味があるので、今年も楽しみに出かけました。
私が若手の楽器に触れる時の原則は、「どう変わっているかを見たい」ということです。若手の楽器は、人によっては驚くほど変化します。ですから「現在の楽器」をマーケットの現状から判断するより、「どう変わってきたか、どう変わっていくだろうか」ということを想像して弾いてみることが楽しいのです。実際に、クレモナで出会った若手の製作家の楽器が2年半で大きく変わっているのを見てきていますし、可能性を探ることはとても面白いのです。
今回の4人の若手製作家の楽器も、とてもよくできているものでした。一台一台にはたくさんのコメントがありますが、イタリアを離れて製作を続けている若手たちの楽器がどのように変化していくのか、来年もじっくり弾かせていただこうと思いました。