柏木真樹 音楽スタジオ

トップページ > Blog > クレモナレポート > クレモナでのワークショップ、第1日目終了!!
開会の挨拶をする高橋さん

開会の挨拶をする高橋さん


 いよいよ、今日からクレモナでのワークショップが始まりました。現地でのコーディネートのために半年間走り回ってくださった製作者の高橋修一さんに、この場をお借りして心より感謝申し上げます。本業の作業が遅れてしまうほど時間を使っていただいて、本当に申し訳ない限りです。また、難解な通訳をこなしていただいたMatteo Rizziさんにも、深く御礼申し上げます。そして、わがままなお願いにおつきあいただいた島村楽器の茂木さんとは、私の浅い知識で不足していることを補強していただき、チェリストの津留崎さんには、一流の演奏家としての楽器に対する見識で、ワークショップを大いに助けていただいています。

 

私の話はマッテオさんがすぐにイタリア語に

私の話はマッテオさんがすぐにイタリア語に

 

 今日までの数日間は、人生初とも思われるほどの緊張に襲われた期間でした。私のような楽器の素人がクレモナの専門家を相手に講演を行うなど、1年前には想像だにしなかった出来事に、ワークショップが近づくにつれて「こんな大それたことをしても良いのだろうか」という恐怖に襲われていたのです。東京で3回にわたって講習会を行うなど、徹底的に下準備をした(やっていただいた)つもりではありましたが、製作者たちが話しに興味を持ってもらえるのだろうか、意図したような効果があるだろうか、と、心配は尽きませんでした。1日目が何とか成功と思える結果に終わり、今は安堵すると同時に疲れがどっと出てしまいました。ブログを更新したら、今日は早く休んで明日に備えます。

 

 

40人を超える製作者に散開していただきました

40人を超える製作者に散開していただきました

 

 

 ワークショップは、10時からヴァイオリン博物館の第10展示してで行いました。高橋さんのご挨拶のあと(内容はイタリア語だったので全くわかりません/笑)、日本の楽器業界の現状などを資料を使いながら説明し、クレモナの多くの楽器に「何が足りないか」、日本のマーケットがクレモナの楽器を「欲しがる」ためには何が必要だと考えるか、そして今回のワークショップを何故行おうと思ったのか、どんな目的なのか、という「総論」を、約45分でお話しさせていただきました。

 

 

熱っぽく語りながら演奏する津留崎さん。楽器に対する指摘もさすがに精密です

熱っぽく語りながら演奏する津留崎さん。楽器に対する指摘もさすがに精密です

 

 

 

 休憩後は、提供していただいた2台のヴァイオリンと1台のチェロを使って、セットアップの簡単な変更で音がどのように変化するのかを体験してただきました。

 

 

 

 

 

iPadのカメラで作業を写してプロジェクターに投影しました。これは成功です

iPadのカメラで作業を写してプロジェクターに投影しました。これは成功です

 

 

 

 東京での事前の講習会、5月のクレモナでも「プレ・ワークショップ」の経験を踏まえ、何をやっているかを簡単に見ていただくために、作業の手元を大きく映し出してプロジェクターを用いたことは正解でした。茂木さんが魂柱を動かす作業をしているところをプロジェクターに移すと、ほとんどの製作者が身を乗り出して画面を真剣に見ていました。

 

 

 

iPadを使った投影を確認する茂木さん

iPadを使った投影を確認する茂木さん

 

 

「これでは何をやっているかよくわからない(実際に魂柱が動いている状態を見ることはできない)から面白くないのでは」と危惧しましたが、「どんな叩き方をしているか、どんな方向からどの角度に動かそうとしているか、実際に動いているときの音がどうなのか、とか、見たいことはたくさんある」と製作者に言われました。確かに、ヴァイオリンの演奏を見ていたら、(音は耳で聞きながら)右手の使い方などを食い入るように見るだろうな、それと同じことだな、と納得です。

 

 

 

チェロをどのように手を入れるかの作戦会議です

チェロをどのように手を入れるかの作戦会議です

 

 

 

 小さな操作で音が劇的に変わること自体には不安はありませんでした。半年の間に100台以上の楽器を再調整した経験で、「こうなる」という予測が外れることもありませんでした。もちろん、事前の打ち合わせで、茂木さんの経験やアイデアも遠慮なく拝借しました。

 

 

明日は、18台の楽器を調整する、という大作業や、実際に駒を削り直すことも行います。

 実際に何をやって、どのようなことが起こったのかの詳細は、3日間が終わって25日のコンサートが終了したら、詳しいレポートにするつもりです。

[ 2016/09/21(水) 04:48 ] クレモナレポート, 楽器, 講習会| コメント(0)
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