柏木真樹 音楽スタジオ

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Column

1987年に書いたものです。

ずいぶん前のものですが、アマオケにおけるチケット料の現状はほとんど変わっていません。ちょっと過激な内容と感じる人もいるかも知れませんね。^^;)

 

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この頃、 とあるアマチュアオケのトレーナーをしていました。トレーナーといっても、別 にトレーナー代をもらっていたわけではないのですが・・・

そのオケは、はっきりいって箸にも棒にもかからない、という感じのオケでした。私がトレーナーになる3年前に演奏会をちらっとみたのですが、ビオラ二人で未完成をやっていました。しかも、二人ともトラ(^ ^;;もっとも、私がいたころは、もう少しまともになっていましたが。

演奏会3回くらいお付き合いさせていただいたのですが、最後の頃、合宿でミーティングがありました。その場で、「次回は経費も多くかかるので、演奏会費用を500円から1000円に値上げします」という「連絡」がありました。私はそれにかみつきました。その時の話です。

この頃はピュアでした(^ ^;; よっぽどのことがないと、アマオケはお金を取るもんじゃない、と思っていましたから。最近は少し路線を変更しています。でも、基本的には、お金を頂く、ということについてもう少し考えた方がよいのではないか、とは思っています。

こんな演奏でお金を取れるんですか

演奏会の料金のこと、値上げには断固反対です。それどころか、むしろ無料にしても良いと思っています。

まず、演奏会の料金とは一体どういう性格のものか、ということを考えてください。もし、演奏会の「料金」だとしたら、私たちの演奏がその値段に値するものだと思いますか?そう考えている人は、間違ってもいないと思いますが。「有料のコンサート」ということは、お客さんにその値段を払ってもらう、ということです。それに見合う演奏会を開催できなければどうしますか?

これに対して、「実際はほとんどが団員によって配られた無料のチケットだから問題ない」という意見がありました。これはすり替えです。実際、当日券を買って入るお客さんも、わずかですがいるわけですから。

さらに、「アマオケのチケット代は、お客さんに運営費を助けてもらっているカンパのようなもの」という声もありました。ならば、チケットを無料にして、当日、「カンパしてください」とカンパ箱でも置けばよい。金額を決めた強制的なカンパ、なんてものは存在してはなりません。カンパとは、あくまで自発的なもの。

「どこのオケでも、500円や1000円はとってあたりまえだ」という声もありました。ですから、悪しき風習をやめましょう、と言っているのです。ほとんどのオケでは、このような話し合いをしていないでしょう。ですから、私たちがきちんとすれば、他のオケも見ならってくれるかもしれない。

「アマオケや合唱の演奏会は、お互いに行きっこしている相互扶助のようなもの」という意見もありました。これもとってもナンセンスです。「じゃあ、行かない人はどうする」

「指揮者やソリストはプロなんだから、無料にするのは失礼だ」という意見もありました。それなら、500円や1000円の値段を付ける方が失礼だと思いますよ。「あなたの演奏は1000円の価値です」ということですか?

でてきた意見は、おおむねこんな所だったと思います。はっきりいって、演奏会の料金を安易に値上げしようとする、また、そういうことに何にも疑問を持たない、という姿勢は、とても不真面目だと思います。