柏木真樹 音楽スタジオ

トップページ > 音楽的主張 > 音楽は料理だ!
Column
 1996/1/1 Mon. 00:00

これは、あっちこっちで書いたり言ったりしてきたことです。私の人生で大切なこと、「音楽」と「料理」。言い換えると、「演奏すること・聴くこと」と「料理すること・食べること」ですね。

昔から、音楽家には美食家が多いといわれてきました。美食で寿命を縮めたと思われる演奏家もたくさんいますし、私の身の回りのプロの演奏家も、食べることが趣味、という人がとてもたくさんいます。

私流に言えば、「人生のもっとも楽しいことの一つである音楽を職業にしてしまった人は、もう一つの楽しいことである、食べること、を趣味にしないと生きていけない」っていう、とっても短絡的な結論になってしまうのですが(^ ^;;(じゃあ、料理人は音楽が趣味の人が多いのか、なんていうつっこみはなしですよ)

料理も好きだし美味しいものを食べるのもとっても好き。演奏するのも好きだし、演奏会に行くのも好き。音楽と料理には、とっても共通点が多いと思うのです。

まず、音楽にも料理にも「素材」があります。音楽の場合は、作曲家の残してくれた「曲」がそれにあたります。料理の場合は「材料」ですね。

新鮮な白身魚が手に入ったら、面倒な料理をしていろんな味付けをするより、まず刺身や塩焼きで食べたくなります。素材の味を十分に楽しみたいから。自然に育った健康で美味しい野菜が手に入ったら、なるべくその味が楽しめるように料理します。味付けもほとんどしない。ほんとに美味しい野菜で作ったミネストローネスープは、なみだがでてくるくらい美味しい。ここには、ベーコンだのスープベースだのはいりません。ほんの少しの塩と胡椒で十分。

音楽もそうだと思います。ただ、素材の味を楽しむためには、「楽譜通りに演奏する」という最大の難関が待ちかまえていますが(^ ^;;

素材を活かすためには、すてきなシェフと道具が必要です。これは、演奏家と楽器・ホールなどに当てはまるでしょうか。どんなに素材がすばらしくても、料理人がその素材をぐちゃぐちゃにしていしまうことがよくあります。モーツァルトが××××にかかると、とても聴けたものではないものになっちゃうのと同じこと(^ ^;;(この××××には、勝手に名前を入れてくださいませ(_ _;;;;)

食べる側のこだわりも、とってもよく似ています。

「美味しければよい」といって、どんな汚い店でも、どんな頑固親父が店主でも、ひたすら味を求めている人もいる。かと思うと、「やっぱりフランス料理はこういう店でないと」とか、「接客態度がなってない店で食べたら、味云々じゃなくなっちゃう」という人もいますよね。「音質が良くなきゃ」という人も「モノラルでも十分」という人もいれば、「ホールなんかどんなところにあってもいい」という人も、「周りの環境が・・・演奏会が終わってから、酔客の臭いを気にして満員電車で帰るなんていや」という人もいます。

だから、こんなホームページを作ったんです・・・