柏木真樹 音楽スタジオ

トップページ > ヴァイオリン+体と頭のこと > 導入用の楽器とすてきな弓の話

今年になってから、ヴァイオリンを初めて持つ方が3人、新しい生徒さんになりました。アシスタントの先生との分担が定着したので、ほとんどお断りしていた新しい生徒さんを何人か増やすことができたことが理由です。そうした生徒さんたちにお勧めしている楽器が、サラサーテにも書いた、16万ほどの中国製のヴァイオリンです。

中国製のヴァイオリンが出始めたときに、興味を持ってかなりたくさん弾いてみました。もう15年くらい前になるのではないかと思います。セットで2万、なんていうとんでもないものもあり、音ももちろんひどいですが、ペグがきちんと動かなかったり、駒が無茶苦茶、なんていうことも少なくなく、当時の楽器は「安い、だけど使わせたくない」と言う代物がほとんどでした。中国製=粗悪品、というイメージを持っている人も多いでしょう。ところが、数年前にいきつけの楽器屋さんで中国製のヴァイオリン(その楽器屋がコンセプトメイクをしたもの)を弾かせていただいて、いっぺんに印象が変わりました。この楽器、ちゃんとヴァイオリンの音がするのです。

さらに驚いたのが、一昨年から手に入るようになった弓です。一つは4万ほど、もう一つは15万ほどのものですが、びっくり。あちこちに書いていますが、「弓はできるだけ良いものを買って始めて欲しい」というのが私の考え方で、それまでは、最低でも12万ほどの弓を勧めていましたが、最初にこの4万の弓に出会った時以来、これで十分スタートできる、と思いました。実際、指導者やプロに弾いていただいても、「この値段は信じられない」と、皆さん口を揃えておっしゃいます。

ところが、これにとどまりませんでした。昨年、この上クラスの弓(定価15万)が登場。これがとんでもないシロモノだったのです。性能も音質も、それまで勧めていた30万ほどのフレンチの弓にほとんど遜色ありません。試しに、何人かのプロに弾いていただいたところ、一番安い値段をつけた方が30万、なんと80万とおっしゃった方もいました。生徒の中でも何人かが買い替えたのですが、比較的定評のある二十数万のフランス製から、この中国製に乗り換えた人もいるほどです。結果的に、最近始められた方は、これらのものでスタートできるようになりました。

中国、恐るべし。