柏木真樹 音楽スタジオ

トップページ > Blog > 未分類 > トランプ氏の当選で思うこと・・・憎悪が増幅される時代への恐れ


 アメリカ人以外の大方の予想(と期待)を裏切って、トランプ氏がアメリカの大統領に当選しました。トランプ氏が選挙のために吠えたことは、実現するわけがないこと(例えば、メキシコとの国境に壁を作ってメキシコに費用を負担させる、など)も少なくありませんが、国際的には確実に変化が起こるでしょう。

 決定的なのは、「アメリカの国益」と捉え方が、これまでの共和党主流派とは全く異なることです。経済では、アメリカの「狭義の」利益が優先されるでしょうし、国際情勢では、欧州とアジアでのアメリカのプレゼンスを否定する発言を繰り返してきたトランプ氏の発言に近い政策が採られるのであれば、クレムリンや中南海にとっては願ったり叶ったりでしょう。もちろん、経済的な反中発言も多いので、一筋縄ではいかないと思いますが。

 対応に悩まされるのは、これまでの「同盟国」です。しかし、これはある意味で予想されたことでもあります。

 イギリスのEU離脱成立やトランプ氏の当選は、国民の閉塞感が覆い難いものである証左でしょう。速報値なので正確さに欠けるかもしれませんが、CNNの報道によれば、今回のトランプ氏の支持者は「白人」「年長」です。これを日本と比べてみれば、ある意味で正反対であることに気づくはずです。

 トランプ氏を当選させた原動力は、「昔のアメリカは良かった。それが壊された」という閉塞感です。一方、日本で閉塞感を感じているのは、若年層に多い。「将来が見えない」という不安が、内向きの政策を掲げ、これまでの政治的な潮流を否定する安倍内閣への無批判な支持につながっているのです。

 こうした閉塞感が生まれてしまった原因を分析しようと思えば、膨大な作業になるでしょう。しかし、結果は現実として突きつけられ始めています。

 以前書いていたブログで、ブッシュ(息子)大統領が当選したとき、「これで、テロの時代がやってくる」と書きました。残念ながら、その通りになってしまいました。21世紀になって、人間が進化させてきた思想を破壊するかのような政策が、大手をふるって主流になる時代がやってきました。それを体現したのが、ブッシュ大統領でした。第二次世界大戦後、価値観の多様性を認め、人類を統合する方向へ舵をきってきたはずの人類が、ふたたび、内向きの、閉鎖的な政策を掲げるものに価値を置くようになってきたように思えてしまいます。「移民が悪い」「イスラムが悪い」「事件があった、犯人は在日に違いない」などなど、まともな思考をともなわない否定が横行するような世界になったら、私が生涯をかけようと思っている音楽など、いったいどんな意味がありうるのか、真剣に悩んでしまうかもしれません。

「憎悪が増幅される時代がやってくる」・・・この予言が外れることを、切に願ってやみません。

[ 2016/11/09(水) 17:14 ] 未分類| コメント(0)
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