柏木真樹 音楽スタジオ

トップページ > Blog > コンサート > 講演はイザイとは・・・しかし、素晴らしい若手の演奏家に出会いました

11日に、大阪の藍野大学で行われた講演会&コンサートに出かけました。

IMG_3937●心理学と医療と音楽の融合について・・・「イザイの音楽の心理的考察」

前半は、藍野大学学長の武田雅俊氏の講演。表題から想像されるものではなく、イザイとは全く無関係の内容に、正直、かなり落ち込みました。

表題から期待したのは、

・イザイの音楽はなぜ、どのように人に訴えかけるのか、を、音楽的、楽理的ではなく心理学的考察によって読み解く。もちろん、「情緒的」「ロマンティック」などの説明ではなく、「音楽が人にどのように影響を与えるか」という大前提を元に、認知心理学的な視点も交えて(これは願望)解説する
・人を「癒す」効果があるとされる1/f ゆらぎを含む音楽や、モーツァルトなどのシンプルなもの、純正な和音を多く含むアカペラ、など、医療現場で使われることがある音楽ではなく、何故、イザイなのか。

IMG_3941音楽は何故、人に訴えかけられるのか、を読み解くことが私にとっての究極の目標であり、最大の興味であるので、とても楽しみにしていました。上記のように、イザイが心理学的に受け入れられやすい、と考えることが簡単にはできなかったからです。私はイザイの曲は大好きですが、何故好きなのか、ということを読み解くことにもつながると思っていました。

しかし、講演前に配られた資料を見て危惧したのですが、残念ながら資料の解説のみ。資料の中でイザイが登場するのは、年表以外にはほとんど1ページだけ。あとは、「イザイが活躍した時代から100年間に科学技術は進歩したが問題も多い。科学技術より心の問題が重要だ」ということと「イザイが活躍した同時代に3人の心理学者(フロイト、アドラー、ユング)が登場し、心理学の世界が進化した」ということでこの3人の業績の解説がありました。なんだか「イザイ」につられて藍野大学の学長の本業のPRを聞かされた気分です・・・

たしかに、タイトルは「イザイの音楽と心理学」ですから、「イザイの音楽によるコンサート」と「心理学についての考察」とが別だとも読めます。内容を確認せずに大阪まで行った自分が単なるアホだ・・・とシクシクしながら講演を聞いていました。

ところが、後半のコンサートは聴きものでした。

ヴァイオリンは、絶賛売り出し中の若手、南紫音さんと岡本誠司さん。南さんは以前教えていた九州出身の生徒の関係で、名前だけは聞いていましたし、あちこちで活躍中なので以前から興味はありました。岡本さんは、かすかに名前を知っていた程度。最近の若手が技術的にとても優れていますが、どんな演奏なのかを楽しみにして聞きました。(ピアノ:田村響さん)

イザイ 悲しみの詩曲 (南)
ショーソン 詩曲 (岡本)
バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番よりプレリュード(岡本)
イザイ 無伴奏ヴァイオリンソナタ 第2番(南)
イザイ 無伴奏ヴァイオリンソナタ 第3番(岡本)
イザイ 子守唄(岡本)
イザイ 子供の夢(南)

南さんの演奏はダイナミック。身体を十分に使って迫力満点です。技術的にもたしかなものを持っている。それは、ある程度想定内でしたが、嬉しい誤算は岡本さん。技術的なことはもちろんですが、とにかく耳が素晴らしい。多彩な音色をパッセージに合わせて使い分ける力は、久しぶりに「これは凄い!」と感じたヴァイオリニストです。ヴィブラートにもうひと工夫、それから、もっと芯がある大きな音の楽器を持てば、凄いヴァイオリニストになるでしょう。これから、しばらく注目してみます。ピアノの田村さんは、自分としてはいまいち。ペダルの使い方があまり・・・ショーソンの和音がかなり濁っていました。もともとがオーケストラの曲だから響きを増やそうとしたのでしょうか、岡本さんの繊細さとはかなり差がありました。力があるピアニストであることは随所に感じられたのですが、やや残念。

[ 2016/08/12(金) 20:25 ] コンサート, ヴァイオリン, 講習会| コメント(0)
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